エム・ディー・ソフトハウス

株式会社エム・ディー・ソフトハウス：人体標本展とその後

株式会社エム・ディー・ソフトハウスは、かつて日本で活躍した企業です。同社を世に知らしめたのは、センセーショナルなイベント『人体の不思議展』です。

2001年9月に設立されたエム・ディー・ソフトハウスは、1998年に一度幕を閉じていた『人体の不思議展』を再興しました。同社は、イベントの開催場所や日程の選定、そして人体標本の確保といった役割を担い、実際の企画・運営は他の企業へ委託するビジネスモデルを採用していました。

イベントの開催形態は大きく2種類ありました。一つはエム・ディー・ソフトハウスが主体となって行う「自主興行」、もう一つは地方の新聞社やテレビ局などに開催権を販売する「売り興行」です。展示されていた人体標本は、主に中国で加工・標本化されたものでした。

『人体の不思議展』は全国各地で開催され、延べ約600万人を動員する人気を博しました。2006年1月期には、約9億9000万円もの売上高を記録するほどの成功を収めました。

しかし、その成功の裏には大きな問題が潜んでいました。倫理的な観点からの批判が強まり、2010年には山口県保険医協会と新潟県保険医会から開催中止を求められる事態となりました。同年、京都市で開催された『人体の不思議展』では、京都府保険医協会などから主催者への告発という事態にまで発展しました。

日本医師会や各地の医療団体からの反対運動は激しさを増し、ついに2012年、『人体の不思議展』は終了しました。

その後、エム・ディー・ソフトハウスは事業転換を試み、診療支援や臨床医学に関するソフトウェア開発に着手しました。しかし、残念ながらこの事業も思うように進まず、売り上げ不振に陥りました。

2016年には事業停止に追い込まれ、そして2018年7月25日、東京地方裁判所から破産手続開始決定を受けました。同年12月5日には、ついに法人格が消滅しました。

エム・ディー・ソフトハウスの盛衰は、社会的な関心の高さと倫理的な問題の難しさ、そして事業転換の困難さを改めて示す事例と言えるでしょう。 『人体の不思議展』というインパクトのあるイベントで注目を集めながらも、様々な困難に直面し、最終的には企業としての存続を断念せざるを得なかったのです。

もう一度検索