エリオ・ジェルマーノ

エリオ・ジェルマーノ：イタリア映画界を代表する実力派俳優

エリオ・ジェルマーノ (Elio Germano) は、1980年ローマ生まれ、モリーゼ州育ちのイタリア人俳優です。彼のキャリアは10代前半、子役としてスクリーンデビューしたことに始まります。13歳にして、カステッラーノとピポロ監督の映画『うざいんだよ、パパ』で既に存在感を示し、主題歌の大ヒットにも貢献しました。その後も、15歳でチョコレートBuenoのCMに出演するなど、若くして注目を集めていました。

高校時代には演劇学校に通い、舞台経験も積みますが、1999年、カルロ・バンツィーナ監督の映画『部屋のなかの空』への出演を機に映画俳優としての道を歩み始めます。同作品では、父親との確執を抱える青年が過去へタイムトリップするという複雑な役柄を、リッキー・トニャッツィ演じる父親との共演で好演しました。

映画のみならず、2001年にはTVドラマ『ザナルディ通り33番地』で主人公の一人を演じ、人気バンドLuna Popの楽曲とフロントマンであるチェーザレ・クレモニーニの出演も相まって話題を呼びました。

ジェルマーノのキャリアは順調に発展し、2007年にはリッカルド・スカマルチョと共演した『マイ・ブラザー』でダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞最優秀男優賞にノミネート。共産主義者の兄とネオ・ファシストの弟という対照的な兄弟の青春物語は、大きな反響を呼びました。

そして2010年、ダニエレ・ルケッティ監督の『我らの生活』で、妻を亡くし、二人の息子を育てる工事現場監督を演じ、見事、第63回カンヌ国際映画祭男優賞を受賞。この受賞は、1987年のマルチェロ・マストロヤンニ以来の快挙でした。

その後もジェルマーノの活躍は続きます。2012年のG8反対運動を描いた『ディアズ』、18世紀の詩人ジャコモ・レオパルディを演じた『レオパルディ』(2014年)など、話題作への出演を重ね、2020年にはジョルジョ・ディリッティ監督の『私は隠れてしまいたかった』で、画家アントニオ・リガブーエを演じ、第70回ベルリン国際映画祭銀熊賞（男優賞）を獲得。カンヌ、ベルリンと、三大国際映画祭で男優賞を受賞するという偉業を達成しました。

さらに同年、ベルリン国際映画祭で最優秀脚本賞を受賞したディンノチェンツォ兄弟の『悪の寓話』、Netflixオリジナル映画『ローズ島共和国～小さな島の大波乱』など、若手監督の作品にも積極的に出演し、その幅広い演技力で高い評価を得ています。

ジェルマーノは俳優業の傍ら、ヒップホップグループBestierare (「珍獣たち」の意) のMCとして音楽活動も継続しており、多彩な才能を発揮しています。私生活では一般女性と結婚し、2人の子供にも恵まれています。

エリオ・ジェルマーノは、イタリア映画界を代表する俳優として、これからも数々の素晴らしい作品で観客を魅了し続けることでしょう。彼の今後の活躍に期待が高まります。

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