ジャコモ・レオパルディ

ジャコモ・レオパルディ: 生涯と業績

ジャコモ・レオパルディ（Giacomo Leopardi）は1798年、教皇領のマルケ州レカナーティで生まれたイタリアの詩人、哲学者、文献学者です。彼は裕福な地方貴族の家庭に生まれ、特に父親は文学に情熱を持つ教養ある人物でしたが、母親は厳格で権威主義的な態度でした。家庭環境は彼の精神に影響を与え、兄妹たちとの思い出が後の作品のテーマにもなりました。

レオパルディは家庭内で神父から教育を受け、父親の蔵書で古典的な教養を培いました。この広範な読書は、彼に多様な知識をもたらし、ラテン語、ギリシア語、ヘブライ語を習得させました。彼は生まれつき病弱であり、主にレカナーティで過ごすことになります。14歳の頃から詩作を開始し、その初期の作品にはすでに彼の悲観主義が顕著に表れていました。

1822年にローマを訪れた際、彼はこの都市の現実に失望しました。家庭から解放されたものの、彼の理想と現実とのズレは彼の創作活動に大きな影響を与えました。この体験後、彼は詩人としての活動を開始し、1824年にはミラノに招かれました。彼はこの頃、詩に加えて哲学的な散文『Operette morali』も執筆し、知識人の間で名声を得るようになります。

晩年のレオパルディは、杖をつかないと立てないほどに病状が悪化しましたが、それにもかかわらず創作意欲は衰えませんでした。彼の作品は19世紀のヨーロッパ文学において重要な位置を占めています。彼の詩はしばしば自己やイタリアの過去を美化しつつ、現在との落差を嘆くものが多く、虚無的な印象を与えます。しかし、彼の豊かな語彙と格調高い韻律は、その芸術性の高さを際立たせています。

レオパルディの作品は、以降のイタリア文学に大きな影響を与えただけでなく、外国の哲学者や作家にも影響を及ぼしました。ショーペンハウアー、ニーチェ、カミュ、ベケットなど、名だたる思想家たちが彼の考え方に感化されました。レオパルディは単なる悲観主義の詩人ではなく、近代的な思想を洞察した哲学的な作家でもあるのです。

1837年、彼はナポリで逝去しました。享年38歳で独身のままでしたが、彼の影響はまだ色あせていません。彼は現在、ナポリのサン・ヴィターレ教会に埋葬されています。彼の作品には、小説や散文も含まれ、その思想は今もなお多くの人々に影響を与えています。彼に関する訳書としては、『カンティCanti』や『断想集』があり、これらの作品を通じてレオパルディの深い思索に触れることができます。

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