エリザベス・サンダース・ホーム

エリザベス・サンダース・ホーム

エリザベス・サンダース・ホームは、神奈川県大磯町に位置する児童養護施設であり、社会福祉法人です。併設されている学校法人聖ステパノ学園小学校・中学校とともに、独自の教育と福祉を提供しています。

設立の背景

第二次世界大戦後、日本に進駐した連合国軍兵士と日本人女性の間に生まれた混血孤児（GIベビー）は、社会の偏見や経済的困窮から困難な状況に置かれていました。三菱財閥創始者・岩崎弥太郎の孫娘である澤田美喜は、これらの子どもたちのために施設設立を決意します。

財閥解体によって財産税として物納される予定だった岩崎家大磯別邸を、GHQとの交渉の末、教会名義で保持することを許可されました。資金は私財の売却や募金活動によって調達され、1948年にエリザベス・サンダース・ホームが開設されました。

施設名は、長年日本で活動し、1946年に亡くなったイギリス人女性エリザベス・サンダースが遺贈した資金にちなんで名付けられました。

その後

2010年までに1400人以上の子どもたちがホームから巣立っていきました。1965年には、園児のブラジル移民を試みるも、ブラジル政府から入国を拒否されるという出来事もありました。その後、教え子の一人がブラジルの黒人移民不歓迎政策を打破し、移民に成功しています。

また、澤田美喜の秘書を務めていた人物が、下山事件に関与したとして逮捕されるという出来事もありました。この人物はCIAの協力者であったとの証言もあり、エリザベス・サンダース・ホームが単なる福祉施設以上の役割を担っていた可能性も指摘されています。

聖ステパノ学園小学校・中学校

ホームで育った子どもたちが成長するにつれて、周囲の偏見や学校生活への適応の問題が浮上しました。そのため、1953年に聖ステパノ学園小学校、1959年には中学校が設立されました。小学校の名前は、澤田美喜の戦死した三男・晃の洗礼名に由来します。1993年からは、一般家庭の子どもたちの受け入れも開始されました。小学校・中学校ともにキリスト教学校教育同盟に加盟しています。

澤田美喜記念館

澤田美喜は、隠れキリシタンの遺物の収集家としても知られています。記念館には、日本各地から集められた貴重な資料が展示されており、隠れキリシタンの歴史を学ぶことができます。記念館は展示室と礼拝堂で構成され、庭には鐘楼があります。

サンダース・ホームをモデルとしたフィクション

エリザベス・サンダース・ホームは、多くのフィクション作品のモデルとなっています。

獅子文六『やっさもっさ』: 映画化作品には、サンダース・ホームの子どもたちが出演しています。
少女漫画『サインはV!』: ジュン・サンダースというキャラクターが、サンダース・ホームで育った混血の選手として登場します。

関連書籍

面高直子 『ヨシアキは戦争で生まれ戦争で死んだ』 講談社、2007年
沢田美喜 『黒い肌と白い心 サンダース・ホームへの道』 日本図書センター、2001年
高崎節子『混血児』(同光社磯部書房、1952年)

外部リンク

聖ステパノ学園小学校・中学校
社会福祉法人 エリザベス・サンダース・ホーム
澤田美喜記念館

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