エリザベス・マンリー

エリザベス・マンリー：逆境を乗り越え、カナダを熱狂させたフィギュアスケート選手

エリザベス・アン・マンリー（Elizabeth Ann Manley、1965年8月7日 - ）は、カナダ・オンタリオ州トレントン出身の元フィギュアスケート選手。1988年カルガリーオリンピックと世界選手権で銀メダルを獲得し、カナダのフィギュアスケート界に大きな足跡を残しました。

幼少期からオリンピックの銀メダル獲得まで

4人兄弟の末っ子として生まれたマンリーは、幼い頃からスケートを始めました。父親の転勤で引っ越しを繰り返した後、両親の離婚を経て、母親のジョアンに育てられました。母親は、彼女のフィギュアスケートの才能を伸ばすために、時間と費用を惜しみませんでした。

1981年の世界ジュニア選手権で3位に入賞した後、1982年の世界フィギュアスケート選手権では13位に終わります。1982-83シーズンには、練習環境を求めて拠点をレークプラシッドに移しますが、ホームシックと鬱に苦しみ、体調を崩してしまいます。一時は練習を中断するも、ピーター・ダンフィールド、ソーニャ・ダンフィールド夫妻の指導を受け、再び競技に打ち込みます。

1984年のサラエボオリンピックでは13位に終わりましたが、その後、世界選手権で着実に順位を上げ、1987年には4位入賞を果たします。

カルガリーオリンピックでの奇跡

1988年、地元カナダで開催されたカルガリーオリンピック。当時、マンリーがメダルを獲得すると予想した専門家やメディアはほとんどいませんでした。注目は、カルメンをテーマ曲に使用したカタリナ・ヴィットとデビ・トーマスの「カルメン対決」に集まっていました。

しかし、マンリーはプレッシャーに負けず、見事に実力を発揮します。風邪気味ながらも、規定で4位、ショートプログラムで3位につけ、フリーでは冒頭の3ルッツを成功させると、その後も全てのジャンプをクリーンに決め、スタンディングオベーションを浴びます。技術点では、9人中5人の審査員から5.9の高評価を得て、フリー1位を獲得。総合2位となり、銀メダルに輝きました。

この予想外の逆転劇は、カナダ中を熱狂させ、マンリーは一躍国民的英雄となりました。

引退後

カルガリーオリンピック後、世界フィギュアスケート選手権でも2位となったマンリーは、アマチュアを引退。アイスショーに参加する傍ら、コーチやコメンテーターとして活躍しました。また、1990年と1999年には自叙伝を出版。2006年には結婚し、現在はオタワに在住しています。

1988年にはカナダ勲章を受章。2010年のバンクーバーオリンピックでは、22年ぶりにカタリナ・ヴィットと再会を果たしました。

エリザベス・マンリーは、逆境を乗り越え、努力と才能で夢を叶えた人物として、今も多くの人々に感動を与え続けています。

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