エリス島

エリス島の歴史と役割

エリス島（Ellis Island）は、アメリカ合衆国のアッパー・ニューヨーク湾に位置する歴史的な島であり、かつてのアメリカ移民局の所在地として名高い場所です。この島は、19世紀後半から60年以上にわたり、ヨーロッパからの移民たちがアメリカに入国する際の主要な拠点でした。移民たちはエリス島を「希望の島」と呼び、ここで新たな生活のスタートを切ることに期待を抱いた一方で、入国を認められずに帰国を余儀なくされることから「嘆きの島」という面も持ち合わせています。これまでに、1200万以上の移民がこの島を通過したとされ、現在ではアメリカ人の約40%が何らかの形でエリス島を通った移民の子孫と言われています。

概要と位置

エリス島はリバティ州立公園の一部として、リバティ島の北側に位置し、多くはニュージャージー州のジャージーシティに属します。しかし、一部はニューヨーク市の飛び地となっています。その面積は約27.5エーカー（11.1ヘクタール）で、大部分は人工的に埋め立てられた土地です。

名称の由来と歴史的経緯

この島の歴史は17世紀に遡ります。ヘンリー・ハドソンがニューヨーク湾を発見した頃、エリス島は「オイスター諸島」の一部として知られていました。特にリバティ島は「グレート・オイスター島」、エリス島は「リトル・オイスター島」と呼ばれ、沿岸で牡蠣が採られていました。1670年代にこの地域はエドマンド・アンドロスによって「ダイアーズ島」となるなど、様々な名称が使われました。

1774年に商人のサミュエル・エリスが島を購入し、以降「エリス島」と呼ばれるようになりました。1794年からは軍事要塞の一部として利用され、1808年には連邦政府の所有に移行しました。いくつかの軍事施設がこの島に建設され、1850年代から入国管理の拠点としての役割が始まりました。

移民の受け入れと影響

1892年1月1日からエリス島は移民局の公式な拠点として機能し、ヨーロッパからの移民がアメリカに入国する最初の場所となりました。島に到着する移民たちは、自由の女神像を背景に新たな生活を夢見ました。最初にエリス島を通過した移民はアイルランドからの少女、アニー・ムーアでした。この小さな島は1892年から1954年までの間に、1700万以上の移民を受け入れました。このため、エリス島は多くの人々にとって新たなスタート地点、そして「希望の島」としての象徴となりました。

一方、入国を許可されない場合もあり、おおよそ2%の移民は故郷に送り返され、家族との離別を余儀なくされました。このような側面からもエリス島は「嘆きの島」とも称されました。移民たちは入国審査を身元調査や健康診断を含む29の質問に応じることが求められ、時には長期間隔離されることもありました。この島で抑留中に3000人以上の移民が命を落としたという歴史があります。

現在のエリス島

1954年に移民局は閉鎖され、現在では歴史的な博物館として一般に公開されています。訪れる人々は、エリス島の歴史や移民の物語に触れることができます。フェリーによって訪れることができ、ロウワー・マンハッタンのバッテリー・パークやジャージーシティのリバティ・ステート・パークからアクセスが可能です。

2001年のアメリカ同時多発テロ事件後、エリス島周辺は公園警察によって監視が強化されています。2012年のハリケーン・サンディによる影響で一時は閉鎖された時期もありましたが、その後の復旧により観光も再開されました。

エリス島に関する作品も多く、映画『ゴッドファーザー PART II』やドキュメンタリー『Island of Hope, Island of Tears』などが存在し、文化の一部としても重要です。

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