エリーザベト・フォン・プロイセン (1815-1885)

マリー・エリーザベト・カロリーネ・ヴィクトリア・フォン・プロイセン（1815年6月18日 - 1885年3月21日）は、プロイセン王国の王女として生を受け、後にヘッセン大公子カールと結婚しました。彼女は、プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム2世の孫にあたり、ヴィルヘルム王子とヘッセン＝ホンブルク方伯フリードリヒ5世の娘マリアンネの間に生まれました。

王女はベルリン王宮で誕生し、幼少期はリーゼンゲビルゲ山脈の麓にあるシュミーデベルク近郊のフィッシュバッハ城で過ごしました。

1836年10月22日、ベルリンにおいて、ヘッセン大公ルートヴィヒ2世の次男であるカール大公子と結婚式を挙げました。

エリーザベト妃は、生涯を通じて福祉と慈善事業に深い関心を寄せました。特に女性のための奉仕活動を重視し、1858年にはヘッセン大公国の首都ダルムシュタットに「エリーザベト救貧院」を設立しました。彼女自身もこの救貧院の設立資金として1万グルデンを寄付するなど、その献身は具体的でした。救貧院への責任感に加え、彼女は私生活においても慈悲深く敬虔な生き方を貫きました。宮廷に説教師を招いたり、宮廷内で福祉事業の推進を図るための活動をしたりと、その慈善への情熱は公私にわたり示されました。

また、美術品にも造詣が深く、父から贈られたハンス・ホルバイン（子）の傑作『ダルムシュタットの聖母』をダルムシュタットにもたらしました。この絵画は、後に1871年に勃発したいわゆる「ホルバイン論争」を引き起こすことになります。

晩年には、家族に対する深い愛情と支援を示しました。1878年、義理の娘であるアリス大公妃がジフテリアにより若くしてこの世を去った際、エリーザベト妃は未亡人となった息子、ルートヴィヒ4世大公を傍らで支え続けました。さらに、母親を失った幼い孫たちに対しても、母親代わりとなって温かく見守り、その成長を助けました。

カール大公子との間には、以下の子供たちが生まれました。
フリードリヒ・ヴィルヘルム・ルートヴィヒ・カール（1837年 - 1892年）：後のヘッセン大公となりました。
ハインリヒ・ルートヴィヒ・ヴィルヘルム・アーダルベルト・ヴァルデマール・アレクサンダー（1838年 - 1900年）
マリア・アンナ・ヴィルヘルミーネ・エリーザベト・マティルデ（1843年 - 1865年）：1864年にメクレンブルク＝シュヴェリーン大公フリードリヒ・フランツ2世と結婚しました。
ヴィルヘルム・ルートヴィヒ・フリードリヒ・ゲオルク・エミール・フィリップ（1845年 - 1900年）

マリー・エリーザベト妃の人生は、王族としての役割、慈善活動への深い献身、芸術への貢献、そして家族への揺るぎない愛情によって彩られた、多面的なものでした。

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