ベルリン王宮

ベルリン王宮の歴史

ベルリン王宮（Berliner Stadtschloss）は、ドイツの首都ベルリンの中心部に位置していた、かつての王宮です。その歴史は、15世紀にブランデンブルク辺境伯フリードリヒ2世がケルン市街の北に築いた城にまで遡ります。

プロイセン王国とベルリン王宮

1701年、プロイセン王国が成立すると、ベルリン王宮は王の居城としての役割を担うことになります。その後、ドイツ帝国が成立すると、皇帝の居城となりました。王宮は、その時々の権力者によって増改築が繰り返され、様々な建築様式が混在する複雑な構造体となりました。特に、アンドレアス・シュリューターやヨハン・フリードリヒ・エオザンダー・フォン・ゲーテといった著名な建築家が携わり、その壮麗さを増していきました。

破壊と再建

1918年のドイツ革命で君主制が崩壊すると、王宮は博物館として利用されるようになります。しかし、第二次世界大戦中の空襲により王宮は焼失してしまいます。戦後、東ドイツ政府は王宮をプロイセン軍国主義の象徴とみなし、その廃墟を取り壊しました。しかし、東西ドイツ再統一後、王宮の再建を求める声が高まり、2013年から再建工事が開始されました。外観はかつての姿を再現し、内部は現代的な複合文化施設「フンボルトフォーラム」として生まれ変わりました。

王宮の変遷

ベルリン王宮は、その歴史の中で幾度となく姿を変えてきました。

初期の要塞: 元々は、シュプレー川の中州に建てられた要塞でした。この場所は、ベルリンとケルンという二つの都市を守る役割を果たしていました。
ホーエス・ハウス: 1310年頃には、ゴシック様式のレンガ造りの城「ホーエス・ハウス」が建てられました。これは後に、ブランデンブルク辺境伯の居城となります。
ベルリン市城: 1443年、フリードリヒ2世は新たにベルリン市城を建設しました。この城は、選帝侯の権威を示すためのものであり、市民からは嫌われていました。しかし、この城が後のベルリン王宮の基礎となります。
ルネサンス様式への改築: 16世紀には、ヨアヒム2世ヘクトルによってイタリアルネサンス様式に改築され、より華やかな宮殿となりました。また、広場が設けられ、馬上槍試合などのイベントが開催されるようになりました。
バロック様式への改築: 17世紀末には、フリードリヒ3世（後のフリードリヒ1世）がバロック様式の王宮への改造を命じました。アンドレアス・シュリューターが建築監督官に任命され、大規模な改築が行われましたが、シュリューターの解任後、ヨハン・フリードリヒ・エオザンダー・フォン・ゲーテが後を引き継ぎました。エオザンダー門とシュリューターホーフは、今も当時の建築様式を伝えています。
大ドームの建設: 19世紀には、フリードリヒ・ヴィルヘルム4世の時代に、大ドームが建設され、現在の外観がほぼ完成しました。

ドイツ帝国とベルリン王宮

1871年にドイツ帝国が成立すると、ベルリン王宮は皇帝の居城となり、帝国の中心となりました。しかし、国会議事堂が完成すると、王宮の政治的な力は薄れていきました。第一次世界大戦末期には、王宮はドイツ革命の舞台となり、君主制の終焉を見届けることになりました。その後は博物館として利用されていましたが、第二次世界大戦末期に空襲により焼失し、その歴史に一旦幕を閉じます。

東ドイツ時代と再建への動き

戦後、王宮跡地は東ドイツの支配下に置かれ、王宮の残骸は取り壊されてしまいました。跡地には、共和国宮殿が建設されました。しかし、ドイツ再統一後、王宮再建を求める声が高まり、ついに2013年から再建工事が開始されました。その結果、外観はかつての姿を再現し、内部は現代的な複合文化施設「フンボルトフォーラム」として生まれ変わり、2020年12月に開館しました。

フンボルトフォーラム

再建されたベルリン王宮は、単なる歴史的な建造物の復元ではなく、教育と知識と文化の拠点となる「フンボルトフォーラム」として新たな役割を担っています。フンボルトフォーラムには、民族学博物館やアジア美術館、フンボルト大学による研究所、ベルリン市立博物館財団による展示室などが入っています。

ベルリン王宮の評価

ベルリン王宮は、様々な建築様式が混在する複雑な構造体であり、特にアンドレアス・シュリューターの功績は特筆されます。王宮は、ベルリン中心部の歴史的景観を形成する重要な要素であり、その再建は、失われた歴史を取り戻す象徴的な出来事となりました。

逸話

ベルリン王宮には、亡霊が出るという伝説がありました。特に「白い婦人」と呼ばれる存在は、王族の死を予告すると信じられていました。この亡霊は、ネプチューンの噴水が見間違えられたのではないかという説もあります。

まとめ

ベルリン王宮は、その長い歴史の中で、様々な役割を担ってきました。王の居城、政治の中心、そして博物館、そして現代の複合文化施設へと変貌を遂げてきました。その変遷は、ドイツの歴史を映す鏡と言えるでしょう。再建された王宮は、過去の歴史を継承しながら、現代のベルリンに新たな文化を創造する場所として、その役割を果たしていくでしょう。

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