エルゲネコンとは

エルゲネコン（トルコ語: Ergenekon）は、トルコ国内で存在が疑われる秘密結社の名前であり、主に軍や治安部隊に影響を与えているとされています。この組織は、世俗主義や愛国主義的な理念を掲げているとされ、政府からは武装した反政府グループとして非難されています。エルゲネコンのメンバーと見なされる人々は、暗殺や政治的暴力を通じて社会不安を誘発し、国の現状に対する抵抗を形成することを目指していると主張されています。

起源と歴史

エルゲネコンの名前は、1996年に起きたススルルク事件の際に初めて注目されました。当初、このグループはギャングの一種と見なされましたが、その後、その活動の広がりや実態の変化により、危険な秘密結社へと変貌してきたとされています。その後、アメリカのCIAとの関連が取り沙汰され、エルゲネコンは国家の中に存在する国家といった扱いを受けるようになりました。これにより、彼らの行動様式はイタリアで行われたグラディオ作戦と似ているとも指摘されています。

組織の特徴

エルゲネコンは当初の姿を変え、現在では新たな分派組織となっていると考えられています。幾つかの証言によると、当時は古い組織としての性質を捨て、武装した秘密組織としての性格を持つようになったと言われています。一部のメンバーは実際に違法行為に関与している可能性があるものの、全ての構成員を共犯者とみなすのは難しいとも指摘されています。彼らが共通して持っているのは、現在の政権と対立する点であり、特に公正発展党（AKP）への反対がその代表的な特徴です。

社会的影響と論争

エルゲネコン疑惑は、トルコ社会全体を巻き込む大きな問題となり、2011年には500人以上が拘束され、その中で約300人が「エルゲネコン・テロ組織」として起訴されました。彼らは過去30年間のトルコにおける政治的暴力のほぼすべてに責任があるとされています。しかし、捜査は進むにつれて批判や疑念を呼ぶこととなり、特に不法な証拠の入手や長期化した公判が名声を損なう結果を招きました。

一方で、ギュレン運動との関係も重要な論点です。ギュレン運動は教育や慈善活動を通じて広がり、エルゲネコン疑惑に対して積極的に捜査を支持した背景があります。このように運動と軍との対立が、エルゲネコン疑惑をさらに複雑にしています。2013年以降、ギュレン運動と政府の関係は悪化し、2014年には政権の中で「並行国家」として扱われるようになりました。2016年には、エルドアン大統領がギュレン運動の指導者をクーデター未遂の黒幕として断定する事態にも発展しました。

結論

エルゲネコンはトルコ社会において存在する影響力の強い秘密結社とされ、その背景には歴史的、政治的な複雑な要因があります。組織の実態やメンバーに対する論争が続く中で、エルゲネコンは今後もトルコの政治や社会の重要なテーマであり続けるでしょう。

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