エルサルバドルの国章

エルサルバドルの国章は、1912年9月15日に現在の形に制定され、国の歴史と理想を象徴する重要な役割を果たしています。そのデザインは、中央アメリカの連帯、自由、そして神への信仰という、エルサルバドルの根幹をなす価値観を表現しています。

国章の中心をなすのは、海からそびえ立つ5つの火山が描かれた三角形です。これらの火山は、かつて存在した中央アメリカ連合州の5つの州を象徴しており、地域の結束と協力を表しています。火山の頂上には、自由の象徴である赤いフリギア帽が棒の上に置かれ、その前には太陽と、エルサルバドルが独立を果たした1821年9月15日の日付が記されています。さらに、これらの要素を包み込むように虹が架けられており、希望と未来への展望を象徴しています。

国章の背景には、中央アメリカ連邦共和国の国旗が5本掲げられています。これは、エルサルバドルが中央アメリカの一員であるという誇りと、地域全体の繁栄への願いを示しています。国章の下部には、エルサルバドルの国の標語である「Dios, Unión, Libertad」（神、統一、自由）がスペイン語で記された巻物があります。この標語は、エルサルバドルの国民が大切にする価値観を端的に表しており、国家の団結と自由への希求を象徴しています。

国章全体は月桂冠で囲まれており、月桂冠は国旗の下で結ばれています。月桂冠の葉は14の異なる部分に分けられており、エルサルバドルの地方行政単位である14の県を象徴しています。これは、国全体の多様性と、それぞれの地域がエルサルバドルの発展に貢献していることを意味しています。国章全体は金色の文字で縁取られており、スペイン語で「REPÚBLICA DE EL SALVADOR EN LA AMÉRICA CENTRAL」（中央アメリカのエルサルバドル共和国）と記されています。

この国章は、エルサルバドルの国民にとって、単なる紋章以上の意味を持ちます。それは、国の歴史、文化、そして未来への希望を象徴する、誇り高いシンボルなのです。

歴代の国章もまた、時代の変化とともにエルサルバドルの歴史を反映しています。初期の国章は、よりシンプルなデザインであり、中央アメリカ連合の理念を強調していました。しかし、時代が進むにつれて、エルサルバドルの独自のアイデンティティを表現する要素が加えられるようになりました。現在の国章は、これらの歴史的な変遷を経て、エルサルバドルの国民が共有する価値観と希望を最も良く表すものとして選ばれました。

関連項目：
国章の一覧
エルサルバドルの国旗

もう一度検索