エルサルバドルの鉄道

エルサルバドルの鉄道：歴史と現状

エルサルバドルの国営鉄道は、FENADESAL（フェナデサル、Ferrocarriles Nacionales de El Salvador）と呼ばれ、港湾自治実行委員会（CEPA）の管轄下にあります。総延長554.8キロメートルに及ぶ線路網は、主に狭軌（914mm）で構成され、サンサルバドル、サンタアナ、アカフトラ、ソンソナテ、ソヤパンゴといった主要都市を結んでいます。かつてはグアテマラとの国境付近で接続していましたが、現在は接続されていません。

歴史

エルサルバドルにおける鉄道の歴史は古く、1882年6月4日、ソンソナテからアカフトラ港を結ぶ区間で最初の路線が開通しました。その後、サンタアナやサンサルバドルなどへの延伸を経て、鉄道網は拡大を続けました。当初は、サルバドール・レイルウェイ・カンパニーと中央アメリカ国際鉄道（IRCA）という2つの事業者がそれぞれ路線を管理していました。両社は後に国有化され、それぞれFES（エルサルバドル鉄道）とFENASAL（エルサルバドル国営鉄道）と改称されました。1975年には、政府の命令により両社が合併し、現在のFENADESALが誕生しました。

しかし、車両や線路の老朽化が深刻化し、2002年10月には全路線で鉄道輸送が停止されました。2004年10月から2005年4月にかけては、サンサルバドルとソヤパンゴ間の区間で、道路橋の崩壊による交通渋滞緩和のため、旅客列車が短期間運行されましたが、これは例外的な措置でした。

再生への試み

2006年、CEPAは鉄道網の再生計画を発表しました。計画の中心は、サンサルバドルとアポパ間の通勤列車の再開です。老朽化した客車を改修して運行するというものでした。2007年11月、計画は実行に移され、アポパへの通勤列車が朝夕2往復で運行が再開されました。しかし、12キロメートルの乗車に10米ドルという高額な運賃と、安全確保のため各列車に配置された4人の警察官の存在は、経済性や効率性において課題を残しました。

その後も、アポパの西にあるネハパまでの路線再開（2008年3月目標）、そしてソンソナテ県都ソンソナテまでの全線再開（翌12ヶ月以内目標）といった計画が発表されましたが、これらが実現したかどうかは、明確な情報がありません。

隣国との接続と現状

現在、エルサルバドルの鉄道は、グアテマラ、ホンジュラスとは接続していません。国境を越える鉄道輸送は、現状行われていません。

まとめ

エルサルバドルの鉄道は、歴史的には重要な交通手段でしたが、老朽化や運営上の問題から、長らく停滞状態にありました。近年、部分的な運行再開の試みが行われたものの、本格的な復活には至っていません。経済的、技術的な課題の克服、そして隣国との連携強化が、エルサルバドル鉄道の未来を左右する重要な鍵となるでしょう。今後の動向に注目が必要です。

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