エルジン

エルジン時計の歴史と現状

エルジン（Elgin）は、アメリカの時計業界においてかつて名を馳せた企業であり、特に懐中[[時計]]や腕時計の分野でその名を記憶する人も多いでしょう。1864年に設立されたエルジンは、「National Watch Company」として始動し、シカゴ市長のベンジャミン・ライト・レイモンドの支援を受け、イリノイ州エルジン市に工場を構えました。エルジンが初めて世に送り出した時計は、18サイズのレイルロードグレード「B.W. Raymond」で、品質と精度が高く評価を受けることとなります。

1874年には社名を「Elgin National Watch Company」へと変更し、生産量においてウォルサムと肩を並べる存在に成長しました。この過程で、エルジンは大規模な工場生産を行いながら天文台や時計学校を設立し、アメリカの時計産業全体の発展にも寄与しました。その後、1910年ごろには他のアメリカの時計メーカーに先駆けて腕時計の製作を開始し、さらにはアメリカ軍に軍用時計として採用されるなど、軍需産業においても重要な役割を果たしました。

第二次世界大戦中には、爆弾の信管など、高い精度を求められる精密機器の生産に従事し、戦後はスイス製時計の台頭により、次第に市場での立場が揺らぐこととなります。1950年代半ばにはクロックや電子製品分野にも進出しましたが、時計製造業者としての地位は次第に低下し、1964年にはエルジン市にあった時計工場が閉鎖されました。その後、1968年にもサウスカロライナ工場が閉じられ、最後にはELGIN NATIONAL WATCH CO.としての存在が消滅します。1969年には建設会社との合併でElgin National Industriesが設立され、時計ブランドとしてのエルジンは他の時計製造業者にライセンスを与える形となりました。

現在、エルジンの商標権はM.Z. Berger Companyに圧倒されており、時計そのものはアメリカ本国で生産されることはなくなりました。しかし、日本の企業が商標を買い取ったことにより、「ジャパンエルジンコーポレーション」や福本電機による「エルジンインターナショナル」といった新しい形で独自の腕時計が生産されています。これらの製品は、廉価ながらも高性能で多機能な腕時計として高い評価を受けており、エルジンの伝統的な品質に対する信念が今も受け継がれています。

エルジンは歴史的に多くの革新をもたらし、今なおその影響を感じさせる存在です。また、エルジンにインスパイアされた作品も多く、例えばゲーム「L.A.ノワール」での登場シーンなどで見られるように、過去の栄光が多くの人にとって記憶に残るブランドであることは間違いありません。

もう一度検索