エルビウムの同位体

エルビウムの同位体についての詳細

エルビウム（Er）は、周期表においてランタニウム系列に属する希土類元素であり、多くの同位体を持つ元素です。通常、自然界に存在するエルビウムの同位体には、162Er、164Er、166Er、167Er、168Er、170Erの6種の安定同位体があり、これらは安定した核構造を持っています。

特に、166Erはその天然存在比が33.503%と最も高く、エルビウムの中で最も普及している同位体です。この元素にはさらに29種の放射性同位体が知られており、その中で最も安定性が高いのは169Erで、半減期は約9.4日です。そのほかの放射性同位体としては、172Er（49.3時間）、160Er（28.58時間）、165Er（10.36時間）、171Er（7.516時間）が存在し、特に半減期が短いものは大半が3.5時間以内に崩壊します。

また、エルビウムは13種類の核異性体も持ち、その中で最も安定な核異性体は167mErで、半減期がわずか2.269秒です。これらの同位体や異性体は、エルビウムの化学的性質や反応性に影響を与えています。

エルビウムの原子量は142.9663から176.9541の範囲に存在し、同位体の安定性によりその含有比や反応性が異なります。特に、166Erよりも軽い同位体は電子捕獲を経てホルミウム（Ho）へと変わり、逆に166Erより重い同位体はベータ崩壊を起こしツリウム（Tm）に変化します。重要な点として、168Erは最軽量の安定核種であり、100個以上の中性子を保持しているという特異な特徴があります。

エルビウムの標準原子量は167.259(3) uであり、これは近年の研究によって確定された値です。これらの同位体や原子量に関するデータは、化学および物理学の実験や解析において重要な基礎情報として利用されています。

参考文献

このエルビウムの同位体に関する情報は、以下の文献に基づいています。

• - Ame2003 Atomic Mass Evaluation by G. Audi et al. (Nuclear Physics A729, 2003)
• - Atomic weights of the elements. Review 2000 (IUPAC Technical Report) など
• - Nuclear and decay properties evaluation (Nubase2003) by Audi et al.

これらの研究成果を基に、同位体の核特性や崩壊データについて理解できます。エルビウムは科学研究や技術開発において注目される元素の一つであり、その特性を深く探求することは今後の研究の進展に寄与するでしょう。

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