エルブロンク

エルブロンク：歴史と復興が織りなすポーランドの港湾都市

エルブロンク（波: Elbląg、独: Elbing）は、ポーランド北部のヴァルミア＝マズールィ県に位置する港湾都市です。エルブロンク川がヴィストゥラ潟へと注ぐ場所に位置し、バルト海への水路を有しています。その歴史は古く、中世にはハンザ同盟都市として栄えましたが、第二次世界大戦で壊滅的な被害を受けました。戦後、ポーランド領となり、旧市街の復元が進められ、現在では歴史と文化が息づく観光都市として新たな魅力を放っています。

歴史

エルブロンクの地には、かつてプルーセン人の集落トルソがありました。9世紀には、アングロサクソン人の船乗りウルフスタンがこの地を訪れ、トルソの存在を記録しています。トルソは、琥珀の道の中継地として、東西交易の要衝として栄えました。10世紀には焼失しましたが、その周辺地域に人々は住み続けました。

13世紀、ドイツ騎士団がこの地を征服し、エルビング（Elbing）という名の町を建設しました。エルビングは、リューベック法に基づき自治権を与えられ、ハンザ同盟に加盟し、貿易を通じて繁栄しました。15世紀には、ポーランド王国の宗主権下に入り、エルブロンク（Elbląg）と呼ばれるようになりました。16世紀の宗教改革では、プロテスタントが広まり、エルブロンクはプロテスタント文化の中心地となりました。

17世紀には、スウェーデンとの戦争で一時的に占領されましたが、その後ポーランド王国の支配下に戻りました。18世紀のポーランド分割により、プロイセン王国に編入され、ドイツ帝国の一部となりました。19世紀には、産業革命が進み、エルビングは工業都市として発展しました。

第二次世界大戦では、エルビングは壊滅的な被害を受けました。戦後、ポーランド領となり、ドイツ系住民は追放され、ポーランド人が移住しました。旧市街は瓦礫と化しましたが、1989年から復元事業が開始され、現在ではその美しい姿を取り戻しつつあります。

地理

エルブロンクは、ドルズノ湖とヴィストゥラ潟に挟まれた平坦な土地に位置しています。エルブロンク川が市内を流れ、ヴィストゥラ潟へと注ぎます。エルブロンク高地と呼ばれる丘陵地帯が市の東側に広がっています。

観光

エルブロンクには、歴史的な建造物や博物館など、多くの観光スポットがあります。

聖ミコワヤ教会: 13世紀に建てられたゴシック様式の教会です。第二次世界大戦で破壊されましたが、戦後再建されました。
市門（Brama Targowa）: 14世紀に建てられた市門です。エルブロンクのシンボルとなっています。
聖母教会: かつてドミニコ会の教会だった建物です。現在は美術館として利用されています。
エルブロンク運河: ドルヴェツァ川とイェジオラク湖を結ぶ運河です。観光船が運航しており、美しい景色を楽しむことができます。

エルブロンクは、歴史と文化、自然が調和した魅力的な都市です。ポーランドを訪れる際には、ぜひエルブロンクに足を運んでみてください。

エルブロンク運河の重要性

2022年9月には、バルト海への新たな航路となる運河が開通しました。これは、ロシア領海を経由せずにバルト海へアクセスできるようになったため、ポーランドにとって戦略的に重要な意味を持ちます。この運河の開通により、エルブロンク港の重要性が高まり、地域の経済発展に貢献することが期待されています。

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