領海

領海の概念と歴史的背景

領海とは、基線から最大12海里（約22.2キロメートル）まで広がる水域で、沿岸国がその主権を持つ空間を指します。この海域は時折、沿岸海とも呼ばれ、国家の領域には陸地や上空だけでなく、海底やその地下も含まれます。領海には、内水や群島水域も含まれることから、沿岸国の権利は多岐にわたります。

歴史的沿革

領海の概念は、古代から現代までの法制度の変遷と密接に関連しています。ローマ法では、海は公のもので誰もその所有権を持たないとされていましたが、中世に入るとアプローチが変わり、沿岸国に一定の権限が認められるようになりました。特に1493年のトルデシリャス条約では、スペインとポルトガルが新しい領有権を求めたことで、国際的な海洋法議論が始まりました。

17世紀には「海洋論争」が勃発し、特にオランダの法学者グロティウスが『自由海論』で、海の自由は万人のものだと主張しました。彼は、海の自然的特性から領有権を抑えるべきだとし、多くの支配的意見に反した意見を展開しました。これに続いて、セルデンの『閉鎖海論』が登場し、歴史的慣行に基づく海軍力の支配を肯定しました。この時期の論争が後の海洋法の発展に大きな影響を与えました。

慣習法と条約化

19世紀には、多くの国が領海を沿岸から3海里と定めるようになりましたが、それを超える幅を主張する国も存在しました。このように、国際法における領海の範囲は未確定で、領海と公海の境界が明示されなかったため、国際社会において条約の策定が求められました。

20世紀に入り、1930年代には国際連盟による領海についての議論が行われましたが、交渉は成功しませんでした。1945年以降、国際連合の下での努力により、1958年には領海についての条約も採択されました。しかし、各国の主張は一致せず、領海の幅については依然として確認されない状態が続きました。1973年に始まった第三次国連海洋法会議では、多くの国が12海里の領海を主張し、最終的には基線から12海里までの領海と200海里の排他的経済水域について合意が成り立ちました。

基線の設定と領海の性質

領海の測定基準として、基線があります。基線は、通常基線、直線基線、群島基線に分けられ、各種の条件に応じて異なる線引きが行われます。例えば、通常基線では低潮線に沿って引かれ、直線基線は更に複雑な海岸線に対応する方法です。

また、領海においては無害通航権が重要なポイントです。沿岸国は、他国の船舶による無害通航を認めなければならず、これについての判断基準は、行為基準説や船舶基準説など様々な考え方が存在します。特に国際[[海峡]]では、外国船舶に対する通航権が通常の領海よりも優先されるため、この領域特有の法律が適用されます。

結論

領海に関する制度は、国際海洋法の中核を成し、各国の主権と国際的な権利のバランスを取る重要な役割を果たしています。時代とともに変化し続けるこの法律の理解は、国際関係における海洋の位置づけを把握する上で欠かせない要素といえるでしょう。

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