エルマー・ドリュー・メリル

エルマー・ドリュー・メリル（Elmer Drew Merrill、1876年10月15日 - 1956年2月25日）は、アメリカ合衆国出身の著名な植物学者です。彼は、特にアジア太平洋地域の植物相に関する深い知識と研究で知られています。その学術的な貢献は、植物学の分野において非常に重要なものとして評価されています。

生涯

1876年、メリルはアメリカのメイン州イースト・オーバーンで生まれました。彼はメイン大学で学び、1898年に理学士号を取得しました。その後、アメリカ合衆国農務省（USDA）に入省し、彼のキャリアは大きく展開します。

1902年から1923年の間、メリルはフィリピンでUSDAの植物学者として活動しました。この期間中、彼はフィリピンの植物相の調査と分類に尽力し、その後の研究の基盤を築きました。

アメリカ合衆国への帰国後、メリルはカリフォルニア大学バークレー校の農学部長に就任し、教育者としても活躍しました。その後、1929年にはコロンビア大学の植物学教授としてニューヨークに移り、同時にニューヨーク植物園の園長も兼務しました。1935年まで同植物園の園長を務めた後、ハーバード大学アーノルド植物園の園長に就任し、1946年に引退するまでその職を務めました。

1939年には、植物学における顕著な功績を称えられ、リンネ・メダルを受賞しました。メリルは、1956年にマサチューセッツ州フォレスト・ヒルズで亡くなりました。

研究内容と業績

メリルの研究は、特にアジアの植物分類に焦点を当てていました。彼は精力的に研究を行い、数多くの著作を発表しました。彼の代表的な著作には、『Flora of Manila』（1912年）、『The Enumeration of Philippine Flowering Plants』（1922年-1926年）、そして晩年の著作『The Botany of Cook's Voyages』（1954年）があります。

これらの著作は、彼の植物分類学における深い知識と、広範な調査研究に基づいています。特に『The Enumeration of Philippine Flowering Plants』は、フィリピンの植物相に関する包括的な研究として高く評価されており、植物学の研究者にとって重要な資料となっています。また、『The Botany of Cook's Voyages』は、クック船長の航海中に収集された植物標本を研究したもので、歴史的な視点からも興味深い内容です。

メリルの業績は、単に植物の分類にとどまらず、植物地理学や生態学にも影響を与えました。彼の研究は、後進の植物学者たちにとって重要な基礎となり、現在でも広く参照されています。彼の植物学への貢献は、学術界において高く評価されており、その名前は植物学史に永く刻まれることでしょう。

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