エルヴィス・カントリー

エルヴィス・プレスリー『エルヴィス・カントリー』

『エルヴィス・カントリー（Elvis Country (I'm 10,000 Years Old)）』は、エルヴィス・プレスリーが1971年に発表したアルバムです。このアルバムは、彼の音楽的なルーツであるカントリーミュージックに焦点を当てた作品として知られています。ジャケットには、エルヴィスが2歳の頃の写真が使用されており、彼の原点回帰を象徴するかのようです。

レコーディングの背景

このアルバムのレコーディングは、1970年6月4日から8日にかけてナッシュビルのRCAスタジオBで行われたセッションを中心に、9月22日の追加セッションで補完されました。当初のセッションでは、1枚のアルバムと2枚のシングル分の18曲を録音する予定でしたが、セッションは非常に順調に進み、最終的には35曲もの楽曲が録音されました。これらの楽曲は、『エルヴィス・オン・ステージVol.1』、『エルヴィス・カントリー』、『ラヴ・レター・フロム・エルヴィス』、『エルヴィス・ナウ』といったアルバムやシングルに振り分けられて収録されました。

セッション4日目、予定外に録音された「知りたくないの」をきっかけに、カントリーソングの録音が加速。プロデューサーのフェルトン・ジャーヴィスは、この流れからカントリーアルバム制作のアイデアを得たといいます。このセッションから、フェルトンはエルヴィス専属の独立プロデューサーとなりました。

アルバムの完成に必要な曲数が足りなかったため、9月22日に追加セッションが行われました。このセッションでは、ジェームズ・バートンが不参加だったため、代わりにエディ・ヒントンがギターを担当しました。

ミュージシャンの変更

本作では、従来のバックバンドからメンバーを一新。スコティ・ムーアやD.J.フォンタナといった馴染みのメンバーに代わり、フェルトンがナッシュビルで集めたスタジオミュージシャンたちが参加しました。これにより、エルヴィスの新たな音楽性が引き出されることとなりました。

アルバムの特徴

アルバムの曲間は、「おいらは何でも見ちゃったよ」で繋がれています。この曲のフルバージョンは、『エルヴィス・ナウ』に収録されています。2000年には、ボーナストラックとしてこのアルバムに追加されました。また、2000年にはアップグレード盤として6曲がボーナストラックとして追加。2012年には、『ラヴ・レター・フロム・エルヴィス』とのカップリングで、ボーナストラックを追加したレガシー・エディションが発売されました。

収録曲

収録曲は、A面とB面に分かれており、ボーナストラックやレガシーエディションには追加の楽曲が収録されています。

参加ミュージシャン

以下に、セッションに参加した主なミュージシャンを記載します。

1970年6月4日～8日 ナッシュビル・セッション
エルヴィス・プレスリー - ボーカル、ギター
ジェームズ・バートン - リードギター
チップ・ヤング - リズムギター
デヴィッド・ブリッグス - ピアノ、オルガン
ノーバート・パットナム - ベース
ジェリー・キャリガン - ドラム
チャーリー・マッコイ - オルガン、ハーモニカ
ファーレル・モリス - パーカッション、ヴィブラフォン
ウェルドン・マイリック - ペダルスティールギター
ザ・ジョーダネアーズ - バッキングボーカル
ジ・インペリアルズ - バッキングボーカル
ボビー・トンプソン - バンジョー on "Little Cabin on the Hill"
バディ・スピチャー - フィドル on "Little Cabin on the Hill"

1970年9月22日 ナッシュビル・セッション
エルヴィス・プレスリー - ボーカル、ギター
エディ・ヒントン - ギター
チップ・ヤング - リズムギター
デヴィッド・ブリッグス - ピアノ、オルガン
ノーバート・パットナム - ベース
ジェリー・キャリガン - ドラム
チャーリー・マッコイ - オルガン、ハーモニカ
ザ・ジョーダネアーズ - バッキングボーカル（9月22日、23日に録音に参加したが最終的にはカット）

オーバーダビング
ハロルド・ブラッドリー - シタールギター
Joe Babcock - バッキングボーカル
Millie Kirkham - バッキングボーカル
Mary Holladay - バッキングボーカル
Ginger Holladay - バッキングボーカル
June Page - バッキングボーカル
Sonja Montgomery - バッキングボーカル
Dolores Edgin - バッキングボーカル
Mary Greene - バッキングボーカル
Temple Riser - バッキングボーカル
Cam Mullins - string arrangements
Don Tweedy - string arrangements
Bergen White - horn arrangements

『エルヴィス・カントリー』は、エルヴィス・プレスリーの音楽的な幅広さと、カントリーミュージックへの愛情を深く感じられる作品です。

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