エル・バウル

エル・バウル遺跡は、グアテマラ南部の太平洋岸低地に位置する、古代マヤ文明の遺跡です。先古典期後期から古典期にかけて栄え、紀元37年という日付が刻まれた石碑の存在から、その歴史の一端が明らかになっています。

この遺跡の重要な特徴の一つに、複数の石碑の存在が挙げられます。特に、7号、27号、30号、そして50号石碑は、後期古典期（400年頃～900年頃）に特有の「コツマルワパ様式」と呼ばれる独特の様式で造られており、学者たちの注目を集めています。これらの石碑には、マヤ文明特有の長期暦による日付が刻まれています。さらに興味深いことに、7号石碑には「2の猿」「6の猿」といった、メキシコ風の独特な日付表記が見られます。これは、エル・バウル遺跡が周辺地域との盛んな文化交流を持っていたことを示唆しており、マヤ文明の広がりと多様性を理解する上で貴重な手がかりとなります。

1号石碑は、長期暦で7.19.15.7.12?.12（紀元37年）という日付が刻まれています。この日付は、エル・バウル遺跡が少なくとも紀元前後の時代から存在していたことを示す重要な証拠であり、その歴史の深さを物語っています。

エル・バウル遺跡の発掘調査は、1942年にJ・エリック・トンプソンによって開始されました。彼の調査によって多くの遺物が発見され、1948年にはカーネギー研究所から調査報告書が発表されました。当初、この遺跡は後期古典期のものと考えられていましたが、近年の研究によって、先古典期後期からの長い歴史を持つことが明らかになりつつあります。

エル・バウル遺跡は、イサパ遺跡など、メキシコ側の遺跡とも関連性が指摘されています。これらの遺跡との比較研究を通して、古代マヤ文明の広がりや文化交流の実態が明らかになることが期待されています。今後の研究によって、エル・バウル遺跡から、さらに多くの知見が得られるものと期待されています。エル・バウル遺跡は、グアテマラの歴史と文化を理解する上で重要な役割を果たす遺跡であり、その保護と研究は、今後の課題として取り組むべき重要な問題です。現在でも発掘調査や研究は継続されており、古代マヤ文明の謎を解き明かすための重要な手がかりが、今後ますます明らかになっていくことでしょう。

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