エル・ピナカテ・イ・グラン・デシエルト・デ・アルタル生物圏保護区

エル・ピナカテ・イ・グラン・デシエルト・デ・アルタル生物圏保護区

エル・ピナカテ・イ・グラン・デシエルト・デ・アルタル生物圏保護区は、メキシコの北西部にあるユネスコの世界遺産です。その地域は、名称が示す通り、ピナカテ火山とアルタル大砂漠を主な見どころとしています。この生物圏保護区は、カリフォルニア湾の東側に位置し、北米の主要な砂漠の一つであるソノラ砂漠に属します。

この保護区は、北にはアメリカ合衆国のアリゾナ州、南にはプエルト・ペニャスコ市に挟まれた広大な範囲を持ち、7230平方キロメートルにも及びます。管理はメキシコ連邦政府と地方の自治体、そして先住民族のトホノ・オ＝オダムと連携して行われています。

地形と生態系

エル・ピナカテ生物圏保護区の地形は、特徴的な楯状火山と、変化する砂丘が広がる風景で知られています。特に、サンタ・クララ火山群や、様々な形状と深さを持つクレーター群が観察されます。これらの火山活動の痕跡は、約400万年前にさかのぼり、最後の噴火は約11,000年前とされています。

この地域は、540種以上の植物と、40種の哺乳類、200種の鳥類、40種の爬虫類を含む多様な生物多様性が特徴です。特に、固有の絶滅危惧種や危急種もすみ、希少な動植物が生息しています。ピナカテの火山の周辺には、多くの景観が広がっており、科学的な価値が高い自然環境が保存されています。

歴史的背景

この地域の初期住民は、サン・ディエギト文化に属する狩猟採集民でした。氷期以降、彼らは食料を求めて山から川へと移動し、定住していました。現代に近い時代には、Hia C-eḍ O'odhamの一部であるピナカテーニョというアメリカ先住民族がこの地に定住し、生活していました。

ヨーロッパ人によるこの地の探検は16世紀から始まり、初めての記録は1540年にメルシオル・ディアスが訪れた際のもので、その後、聖ザビエル伝道教会のエウセビオ・キノの一団による探検が続きました。

近代と保護活動

1979年にこの地域は最初の保護区として指定され、1993年に生物圏保護区としての地位が与えられました。さらに、2008年にはラムサール条約の登録地となり、水辺の生態系を守るための取り組みが行われています。様々な植物や動物がこの保護区で生息しており、地域の生物多様性を守るための重要な役割を果たしています。

世界遺産登録

この地域は、2013年に世界遺産に登録され、その自然美や生物多様性の価値が国際的に認められました。登録基準には、優れた自然の美、重要な地質学的特性、そして絶滅の恐れがある種の生息地が含まれています。エル・ピナカテ・イ・グラン・デシエルト・デ・アルタル生物圏保護区は、自然環境を保全するための重要なエリアとして、今後も守っていく必要があります。

この地域の保存に向けた取り組みは、未来の世代にわたり、この特異な生態系とその美しさを受け継いでいくために不可欠です。

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