エレオノーレ・フォン・エスターライヒ (1582-1620)

エレオノーレ・フォン・エスターライヒ（1582年 - 1620年）は、オーストリア大公カール2世とバイエルン公アルブレヒト5世の娘マリア・アンナの娘として生まれました。彼女は神聖ローマ皇帝フェルディナント2世の妹にあたります。

生い立ちと特徴

エレオノーレは、ハプスブルク家の特徴である突出した下唇を持つことで知られていました。また、気まぐれな性格ながらも、知性に恵まれていたと伝えられています。しかし、幼少期に天然痘を患った影響で、生涯を通して虚弱体質に苦しみました。

結婚の可能性と修道院での生活

エレオノーレは、姉のグレゴリアや妹のマルガレーテとともに、スペイン王フェリペ3世（当時はアストゥリアス公）の花嫁候補に挙げられました。姉妹の肖像画がスペイン宮廷に送られましたが、エレオノーレが有力な候補者として見なされることはありませんでした。フェリペ3世はグレゴリアと婚約後に死別し、その後マルガレーテと結婚しました。エレオノーレには、他にもイタリアの諸侯との縁談が持ち上がりましたが、いずれも実現しませんでした。

1607年、姉のマリア・クリスティーナが不幸な結婚生活を終えて実家に戻ると、エレオノーレは姉とともに、伯母マグダレーナが創設したハル女子修道院に入りました。彼女の虚弱体質は変わらず、晩年には失明してしまいました。1620年、エレオノーレはこの世を去り、ハルのイエズス教会に埋葬されました。

エレオノーレ・フォン・エスターライヒは、ハプスブルク家の血筋を受け継ぎながらも、病弱な体と不遇な境遇に苦しんだ女性でした。彼女の生涯は、当時の貴族女性の置かれた状況や、ハプスブルク家の複雑な人間関係を垣間見せてくれます。

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