エレファント (映画)

映画『エレファント』の概要

映画『エレファント』（Elephant）は、ガス・ヴァン・サントが監督を務め、ジョン・ロビンソンが主演する2003年製作のアメリカ映画です。この作品は、2003年の第56回カンヌ国際映画祭で最高賞にあたるパルム・ドールを獲得し、さらに監督賞も受賞しました。これは、「バートン・フィンク」以来、映画歴史上二度目の快挙となります。作品はR-15に指定されており、上映時間は81分です。

事件に迫るテーマ

この映画は、1999年4月20日にアメリカ・コロラド州で発生した衝撃的なコロンバイン高校銃乱射事件をテーマにしています。この事件は、学校内での暴力や青少年の心理について深刻な議論を引き起こしました。『エレファント』は、同じ事件を扱ったマイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』としばしば比較されることもあります。キャッチコピーとして知られる「キスも知らない17歳が銃の撃ち方は知っている」は、若者たちの孤独や葛藤を象徴しています。

リアルな描写

この映画の特筆すべき点は、プロの俳優がわずか3人しか使われず、あとは実際の高校生が演じている点です。生徒たちは3000人の中からオーディションで選ばれ、セリフや役割は彼らの実際の体験を基に構築されました。役名も彼らの本名が使われ、自然な演技が生まれています。また、台詞は現場でその場の空気に合わせて作られたため、アメリカの高校の日常が非常にリアルに描かれています。

物語のあらすじ

映画は、ベートーヴェンの『ピアノソナタ第14番』が流れる中で始まります。ポートランドの高校では、平穏な日常が展開されています。ジョンは、酔っ払った父に送られたことを気にしながら兄に助けを求める電話をかけます。一方、写真部員イーライは公園でカップルを撮影しており、日常の中では3人の女生徒が噂話に花を咲かせています。フットボールチームの練習を終え、恋人と待ち合わせをする人気者のネイサンも登場します。

しかし、この平和な日常が一瞬で崩れ去ります。アレックスとエリックという2人の少年が、銃を持って学校に入り、無差別に生徒たちを襲撃します。この残虐なシーンによって物語は締めくくられ、観客に衝撃的な体験を提供します。

キャスト

映画のキャストには、以下のような俳優が参加しています。主なキャラクターと俳優は以下の通りです:

• - アレックス - アレックス・フロスト（声：清田和彦）
• - エリック - エリック・デューレン（声：中谷健太朗）
• - ジョン・マクファーランド - ジョン・ロビンソン（声：結城比呂）
• - イーライ - イライアス・マッコネル（声：依田行生）
• - その他、多数の高校生も出演しています。

タイトルの意味

映画タイトル“エレファント”は、ガス・ヴァン・サントがさまざまな意味を込めて選んだものです。1977年のアラン・クラーク同名の映画からインスパイアを受け、暴力の多様な側面を描く意図があります。また、「Elephant in the room」や「群盲象を評す」といった表現も含まれており、誰もが認識している重大な問題について語らない現実を反映しています。

このように『エレファント』は、アメリカの若者文化、学校内の暴力、そしてその背後にある複雑な心理を浮き彫りにした重要な作品として、多くの人々に考察を促しています。

もう一度検索