バートン・フィンク

バートン・フィンク

『バートン・フィンク』（原題: Barton Fink）は、1991年に公開されたコーエン兄弟によるアメリカ映画である。本作は、1941年のブロードウェイで高評価を得た劇作家バートン・フィンクのハリウッドでの奮闘と内面的な葛藤を描いている。

ストーリー概要

物語は、成功を収めた劇作家であり、ユダヤ系共産主義者のバートン・フィンクがハリウッドの大手映画プロダクション「キャピタル・ピクチャーズ」と契約することから始まる。彼はホテルEarleに宿泊するが、その環境は非常に劣悪で、異様な蒸し暑さに壁紙が剥がれ、乾燥した地域にもかかわらず蚊が飛び交う。バートンは、映画業界についての知識が乏しい中、脚本制作のために強引な依頼を受ける。その結果、彼は新しいジャンルの映画、レスリング映画の脚本に挑むことになる。

執筆を始めるバートンだが、隣室からの騒音に悩まされ、集中力を欠くことに。しかし、隣室の男チャーリー・メドウズと出会い、意気投合する。チャーリーは保険のセールスマンであったが、次第に彼の真の姿が明らかになっていく。バートンは、映画脚本のアイデアを求め、著名な小説家W・P・メイヒューに会うが、彼は重度のアルコール依存症で、バートンとの議論が激化する。

内面的葛藤と流血

脚本の進捗が感じられない中、最終的にバートンはオードリーという女性と関係を持つ。しかし、翌朝彼はオードリーが大量の血を流しているのを見てしまい、取り乱したバートンはチャーリーに助けを求める。ここから物語は緊迫感を増し、オードリーの死体を隠すことや、身の安全を考えなければならない状況へと発展していく。彼はチャーリーと共にこの状況を乗り越えようとするが、現実はさらに困難な展開を見せる。

逃避と絶望

バートンは最終的に完成した脚本をプロデューサーに提出するが、思わぬ形で否定されてしまう。彼の作品が評価されないことに対する絶望感は、彼を砂浜に導く。そこで彼は、海を眺めながら水着の女性と出会い、その光景がホテルの絵と一致しているのを見て、何かの運命を感じる。

作品の評価

『バートン・フィンク』は、1991年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドール、監督賞、男優賞を受賞し、批評家から受けた評価も高い。この作品は、映画制作の難しさや、創作活動における精神的な苦悩を象徴的に描いており、特にコーエン兄弟の作家としての視点が色濃く反映されている。

結論

『バートン・フィンク』は、映画界の裏側と作創作の苦しみを心理描写豊かに表現した作品であり、映画ファンや批評家からの深い理解を促す内容となっている。コーエン兄弟独自のスタイルと、主演ジョン・タトゥーロの繊細な演技が組み合わさり、観る者に深い印象を与える。

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