エンカルタ

エンカルタ（Encarta）について

エンカルタは、マイクロソフトが1993年から2009年にかけて制作・販売していた電子的な百科事典です。日本市場においては1997年に「マイクロソフト エンカルタ 97」として初めて登場し、それ以降毎年新しいバージョンがリリースされることで、多くのユーザーに親しまれました。エンカルタの大きな特徴は、従来の印刷された百科事典とは異なり、デジタル技術を駆使している点です。

エンカルタの形態

エンカルタは、主に二つの形式で提供されました。一つはソフトウェア版であり、「マイクロソフト エンカルタ 総合大百科」として知られていました。このソフトはCD-ROMまたはDVD-ROMを介して提供され、コンピュータの特性を活かして、視覚的な要素や音声、さらには動画を組み合わせた情報提供が行われました。この斬新な形式により、ユーザーは直感的に情報を検索し、閲覧することが可能でした。

もう一つはオンライン版で、「MSNエンカルタ百科事典」として知られており、MSNというオンラインサービスを通じて利用されました。ユーザーはインターネット接続を通じて、リアルタイムで情報にアクセスすることができ、利用の幅が広がりました。

定期的な改訂と更新

エンカルタは、毎年のように改訂版をリリースし、新しい情報やテクノロジーに対応していました。しかし、2006年度版からは、商業的理由から特定の企業名が収録対象から外されました。この変更により、百科事典の内容がより中立的な情報提供に傾いていったと考えられます。

販売終了とサポート

エンカルタの歴史は2009年に大きな転機を迎えました。マイクロソフトは同年3月31日にエンカルタに関連する全ての商品の販売を終了すると発表しました。そして、ソフトウェア版の販売は6月に終了し、オンライン版の服務も10月31日に完了しました。ただし、日本国内ではサービス終了が12月31日まで延長されるという特例があったものの、全体としてエンカルタはその長い歴史に幕を閉じました。サポートについては、各国でテクニカルサポートが3年間継続される旨が発表されましたが、日本における「エンカルタ総合大百科2009」のサポート終了日は2012年1月10日でした。

特別版の存在

エンカルタには、通常版とは異なる特別版も存在しました。その名も「Microsoft エンカルタ 総合大百科 進研ゼミ特別版」で、これは進研ゼミの会員向けに配布され、通常版よりも収録項目数や機能が限定されたバージョンです。これにより、特定のユーザー層に対して特別な学習リソースを提供する工夫がされていました。

関連項目

エンカルタはまた、他のマイクロソフト製品とも連携していました。たとえば、「Microsoft Bookshelf」や「Microsoft Bookshelf Basic」との連携により、ユーザーは幅広い情報資源にアクセスすることができました。

まとめ

総じて、エンカルタは情報を提供する新たな形態を具現化した重要な製品であり、デジタル時代の先駆けとも言える存在でした。それだけに、その終焉は多くのユーザーに寂しさをもたらしましたが、デジタル百科事典の可能性を広げた功績は今後も評価されることでしょう。

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