エンゲルベルク

エンゲルベルク：スイスの山岳リゾート

エンゲルベルクは、スイス連邦オプヴァルデン準州に位置する基礎自治体であり、スイス中央部を代表する山岳リゾート地として知られています。準州内ではニトヴァルデン準州を挟んだ飛び地となっています。

歴史

エンゲルベルクは、1122年にTrübseeの牧草地として利用されていた地に修道院が設立された際に、初めて歴史に登場しました。地名の由来はドイツ語で「天使の山」を意味します。12世紀に創建されたベネディクト派修道院を中心に発展し、18世紀末までエンゲルベルクと谷一帯を統治していました。

1850年頃から、清浄な空気を求めて各国から観光客が訪れるようになり、カッターニ家、ヘス家、オーダーマット家といった観光業の先駆者たちによって多くのホテルが建設されました。1872年から1874年にかけて新しい道路が開削され、1898年にはスタンスシュタート-エンゲルベルク電気鉄道が開通し、観光地としての地位を確立しました。

19世紀末にはハイキングや山岳スポーツが盛んになり、1903-1904シーズンにはエンゲルベルク初のウィンターシーズンを迎えました。1913年にゲルシュニアルプGerschnialpまで、1927年にトリュプゼー Trübseeまでケーブルカーが延伸され、アクセスが向上しました。1938年にはアルペンスキー世界選手権が開催され、1967年にはティトリス山の山頂付近にあるクライン・ティトリス駅（標高3020m）までケーブルカーが敷設されました。

2000年において、エンゲルベルクの労働人口の4分の3が第三次産業、特に観光業に従事しており、観光が経済の基盤となっています。

観光

エンゲルベルクは、夏はティトリス山観光とハイキング、冬はスキーを中心に、世界各国からの観光客で賑わいます。

ティトリス山

エンゲルベルクの南に位置するティトリス山の山頂には、一年中万年雪と氷河が広がります。麓のエンゲルベルクから、ゴンドラとロープウェイを乗り継いでティトリス山頂付近のクライン・ティトリス駅まで行くことができます。最終区間となるシュタント～クライン・ティトリス間では、世界初の回転空中ケーブル「ロッテール Rotair」が運行しています。クライン・ティトリス駅には、レストランや展望テラスに加え、氷河洞窟、グレッシャーパークなどの観光施設が整備されています。また、ティトリス山頂付近には、ヨーロッパ最高地点となる長さ100ｍの吊り橋があります。

中間駅トリュプゼー付近にある山上湖周辺には、多彩なハイキングコースが整備されています。

エンゲルベルク修道院

1120年に設立されたベネディクト派修道院で、18世紀末までエンゲルベルクと谷一帯を統治していました。修道院教会のパイプオルガンはスイス最大級のものです。修道院には現在もなお約30人の修道士が生活を送っています。敷地内にはチーズセンターが併設され、チーズ製造のデモンストレーションを見学できます。

冬のエンゲルベルク

エンゲルベルクは中央スイス地方で最大級のスキーリゾートとして知られています。10月から5月の長期間滑走可能で、上級者向けの難易度の高い斜面が多くあります。

近年、リフトでアクセスできるティトリス山の山頂やヨッホパスから滑り降りる北斜面は、オフピステ（コース外）の滑走を楽しむスキーヤーにとって人気があります。谷側を挟んで北側のBrunniのスキー場は初心者向けの緩やかなコースが中心です。

アルペンスキーに加え、クロスカントリースキーコースも整備されています。また、エンゲルベルクの村中心部に近いグロス＝ティトリスシャンツェでは、スキージャンプ・ワールドカップが毎年開催され、多くの観客を集めます。

地理

ティトリス山の北斜面に広がり、チューリヒから南に直線距離で65km程です。エンゲルベルクの面積は74.85平方キロメートルで、そのうち28.5%が農地、24.5%が森林、3.1%が道路や建物などの都市化部分、43.9%が河川や氷河、山地などです。平均の標高は1,020m、最高点はティトリス山の3239メートルです。

交通

ルツェルン-エンゲルベルグ線が利用できます。

人口

エンゲルベルクの人口は4,279人（2010年12月31日現在）です。

出身人物

エリカ・ヘス（Erika Hess）：アルペンスキー選手。
フリッツ・ファイアーアーベント（Fritz Feierabend）：ボブスレー選手。
* オットマー・ヒッツフェルト：サッカー指導者。

気候

エンゲルベルクでは1年のうち157.9日で降水があり、年間降水量は1,510mmです。平均気温は7月が最高で14.1℃、1月が最低で-2.7℃です。

エンゲルベルクは、その美しい景観と多様なアクティビティで、訪れる人々を魅了し続けています。

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