エンゼル東宝

エンゼル東宝 - 名古屋の映画館の歴史

エンゼル東宝は、かつて名古屋市中区栄の松坂屋本店北館に存在していた東宝系の映画館です。この施設は1972年11月にオープンし、映画ファンに長年愛されてきました。

開館からの歴史

エンゼル東宝は、松坂屋本店の開業と同時に、地下1階に併設されました。映画館としての役割を果たしながら、栄という街の文化の一部として重要な位置を占めていました。特に1986年には『子猫物語』が大ヒットし、その年の年間入場者数は18万8千人に達し、エンゼル東宝の最盛期を迎えました。この記録は、名古屋の映画館としての新たなスタンダードを確立するものでした。

しかしながら時の流れと共に、映画館の客足は変化していきます。2005年9月4日、エンゼル東宝は近隣のシネコンの出現や北館の改装に伴い、33年の歴史に幕を閉じることになりました。最後の上映作品は『劇場版 NARUTO -ナルト- 大激突!幻の地底遺跡だってばよ』であり、多くのファンの涙を誘いました。

映画館の特徴と上映作品

エンゼル東宝はオープン当初から東宝の邦画作品を中心に上映しており、時折洋画も取り入れることで、多様な映画体験を提供していました。特に1998年には名鉄東宝が2館体制に移行した後、日比谷映画や有楽座系の作品が加わり、人気作品を幅広く上映していました。この変化が作品選びにも影響を与え、様々なジャンルの映画を見ることができました。

映画館の定員は380人で、比較的小規模な劇場のため、訪れる観客にとっては親密さと特別感があったことでしょう。観客は大きなスクリーンで作品を楽しむことができ、その一体感が多くの思い出を生んできました。

閉館後の変遷

エンゼル東宝の閉館後、跡地には2006年6月に大人向けのディスコ「PLATINUM NAGOYA」がオープンしました。さらに、2016年にはこのディスコも閉店し、新たな文化や商業施設が求められる中で、エンゼル東宝の存在は一つの時代の終わりを示すものでした。

名古屋市内の映画文化を振り返ると、エンゼル東宝はその歴史的な役割を果たし続けました。名古屋の映画館の中には、他にも名宝劇場や名鉄東宝など、同様に多くの愛を受けた映画館が存在していました。これらの映画館は、名古屋市の映画文化の発展に大きく貢献した存在であり、多くの人々の心に残る思い出の場所となりました。

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