エンダイブ

エンダイブとは

エンダイブ（Cichorium endivia）は、東地中海沿岸が原産のキク科に属する野菜です。日本では「キクヂシャ」とも呼ばれ、別名として「ニガチシャ」や「メリケンサラダ」もあります。長い葉が特徴で、外見はレタスに似ていますが、独特のほのかな苦味を持つため、その味わいは食材としての魅力を増しています。

名称の混乱

エンダイブはフランス語では「シコレ（chicorée）」または「シコレ・アンディーヴ（chicorée endive）」と呼ばれていますが、料理業界では単に「シコレ」とされることが多いです。その一方で、「アンディーヴ」という名前は、一般的にチコリーを指すため、エンダイブがチコリーと混同されることもあります。特にアメリカでは、チコリーを誤ってエンダイブと呼ぶことが見られます。このように名称が異なるため、誤解を招くことが多い食材となっています。

歴史的背景

エンダイブは古代から人類に親しまれてきた野菜で、古代エジプトでは食用や観賞用に栽培されていました。その後、古代ローマの博物学者プリニウスの著書にもエンダイブが登場し、さらにはディオスコリデスやオウィディウスもこの野菜について言及しています。ユダヤ教徒は過ぎ越しの祭りにこの野菜を苦草として取り入れています。

エンダイブは16世紀半ばに、カルヴァン派の宗教改革を経てイギリスやフランス、ドイツに伝わり、当初は薬草として使用されました。その後、19世紀の初頭には移民によってアメリカに持ち込まれました。日本には江戸時代初期に導入されたとされ、貝原益軒の『大和本草』でも「紅毛萵苣」として登場しています。

エンダイブの品種

エンダイブには主に二つのタイプがあり、一つは小葉が大きくて切れ込みが浅いエスカロール種（ヒロハキクチシャ）で、もう一つは葉に深い切れ込みがあり細かく縮れた縮葉性（チヂミキクチシャ）です。日本でよく見かけるのは後者の縮葉性です。特に縮れた葉は、食感や見た目の美味しさを引き立てるため、料理に重宝されています。

栽培法

エンダイブの栽培は、通常4から5ヶ月の期間が必要です。露地栽培では春まきと夏まきの二つの方法があり、季節や気候に応じて育てられます。エンダイブは冷涼な気候を好みますが、冬の降霜期には成育が止まってしまうため注意が必要です。

栽培する際は、育苗から始め、発芽後は本葉が出た段階でポットに移植します。畑では、数年の間にキク科の作物を植えていない場所を選ぶことが選択肢として重要です。植え付け後は水やりや追肥を行い、株を大きく育てることで美味しいエンダイブが収穫できます。

利用法

エンダイブは苦味が特徴ですが、その分栄養価も高いです。特に、10月から3月の間が旬とされ、葉先が瑞々しく細かく縮れているものが高評価とされています。生でサラダに使ったり、肉料理の付け合わせ、おひたしなどにも適しています。外葉は若干硬いため、炒め物や漬物にも向いています。

可食部100グラムあたりのカロリーは約15キロカロリーで、抗酸化作用があるβ-カロテンやビタミン類、カルシウム、カリウムが豊富に含まれています。特に緑色が濃い外葉には多くの栄養素が含まれ、日々の健康維持に役立つ食材となっています。エンダイブは、独特の風味を持ちながらもサラダなどのメニューにさっぱりとしたアクセントを加える、美味しくて健康的な野菜です。

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