エンティティリスト

エンティティリストについて

エンティティリスト（Entity List、EL）は、アメリカ合衆国商務省産業安全保障局（BIS）が発行する貿易の取引制限リストです。このリストには、特定の外国の個人や法人、政府、およびそれらを総称してエンティティと呼ぶものが含まれています。エンティティリストに名を連ねるエンティティに対しては、特定の米国の技術や製品の輸出または移転が行われる際、BISに許可申請を行う必要があります。ただし、これは米国の個人や企業がエンティティリストに載った企業から物品を購入することを禁じるものではありません。このため、取引禁止顧客リスト（Denied Persons List、DPL）やSDNリストと比べると規制は緩やかです。

エンティティリストの成り立ち

エンティティリストは、1997年に大量破壊兵器の拡散に携与する企業を公示する目的で初めて制定されました。その後、活動がアメリカの国家安全保障や外交政策に反する企業の指定にも拡大されてきました。現在、アメリカ合衆国輸出管理規則（EAR）のPart 744 Supplement No.4としても知られています。

掲載されているエンティティ

エンティティリストには、様々な国に本拠を置く企業や組織が含まれています。例えば、2021年にはバイデン政権がロシア、スイス、ドイツを拠点とする法人を追加しました。また、ミャンマーにおける軍事クーデターを受け、同国の国軍関連企業もリストに載せられました。さらに、数百の中国企業も含まれており、特に軍事技術や先端技術に従事する企業が注目されています。中国の通信機器メーカーのファーウェイも2019年にリストに登録され、これによりGoogleのモバイルサービスの使用が制限され、市場シェアの減少を招きました。

中国企業の動向

中国企業にはZTEやハイクビジョンなど、特定の技術に関与した企業もリストに追加される傾向があります。これら企業の多くは「軍民融合政策」に関連しており、人権問題なども取り沙汰されています。専門家はエンティティリストに載った企業が今後もリストから外れることは難しいと見ており、代替供給戦略を急いで進める必要があると提言しています。特に、先端技術の国産化が急務とされています。

ファーウェイの対応

ファーウェイに関しては、制裁が施行される2020年9月を前に、同社は「サバイバルモード」に入り、多くの主要サプライヤーから規制対象の部品を備蓄しました。これには半導体チップなどが含まれ、2019年に234.5億ドルがこれに投じられました。これにより、2021年には1億9500万台のスマートフォンが出荷されるとの予測がありますが、規制が緩和されない限り、出荷台数は大幅に減少する恐れがある観測も出ています。

中国の反応

中国政府は2019年に「信頼できないエンティティリスト」を発表し、自国の企業に対する不当な制裁を行なった外国企業をリスト化しました。これにより、国外の企業には警告がなされ、中国企業への販売禁止に協力した外国企業には厳しい結果が待ち受ける可能性があるとされています。エンティティリストに対抗する形で、中国は国際貿易における自国の利益を守る姿勢を強めています。

参考文献

• - 外部リンク
• - 公式ウェブサイト
• - Electronic Code of Federal Regulations Official Version of the Entity List

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