エンドレス・トーキング

エンドレス・トーキングについて

細野晴臣の12枚目のオリジナル・アルバム『エンドレス・トーキング』は、1984年に彼が設立したモナドレーベルからリリースされました。このアルバムは、細野が「観光音楽」と名付けた作品群の一つであり、他には「コインシデンタル・ミュージック」「マーキュリック・ダンス」「パラダイスビュー」も含まれています。

制作背景

本作に収録された全ての楽曲は、1985年5月にイタリア・ジェノヴァで開催された「ジャパン・アヴァンギャルド・オブ・ザ・フューチャー展」に向けて制作されました。細野はミラノのデザインチーム「アトリエ・アルキミア」とコラボレーションし、彼らが制作した13体のオブジェから、内蔵されたテープを通じて異なる音楽が流れるという斬新な形式が採用されています。

このプロジェクトに取り組むにあたり、当時細野は映画『銀河鉄道の夜』の音楽制作で非常に多忙でした。そのため、同映画の録音スケジュールをわずか1日だけ中断し、その空いた時間に全13曲をシンセサイザーとサンプリング・マシンを使用して即興的に作成しました。

さらに、制作過程の効率を重視し、マルチトラック録音を省略し、ステレオ2トラックでダイレクトに録音されています。そのため、ほとんどの楽曲は約3分に短縮されています。この形式が「エンドレス・トーキング」というアルバムのタイトルの由来となっています。

アルバムの再発

『エンドレス・トーキング』は、1996年のCD化以降、長い間廃盤となっていましたが、2008年にはタワーレコード限定で紙ジャケットとして再発され、多くのファンに新たな音楽体験を提供しました。

収録楽曲

A面

1. 威勢のいい滝 (マーキュリーフォール MERCURYFALL)
2. 動物の意見 (アニマルズ・オピニオン THE ANIMAL'S OPINION)
3. 昆虫は非常事体を主張する (インセクト・インシスト・インセキュリティー INSECTS INSISTS INSECURITY)
- こちらは「Making of NON-STANDARD MUSIC/Making of MONAD MUSIC|Making of NON-STANDARD MUSIC_Making of MONAD MUSIC」に収録されていた「ミディアム・コンポジション」のアレンジ作品です。
4. 人類の長いお噺 (ロングストーリー・オブ・ヒューマンカインド THE LONG STORY OF A HUMANKIND)
5. 天国の第一人者 (ファーストワン・イン・ヘヴン THE FIRST ONE IN HEAVEN)
6. オペラによる制御回路 (シーケンシャル・オペラ・サーキット SEQUENTIAL OPERA CIRCUIT)
7. 動揺 1 (トレンブリング1 TREMBLING #1)

B面

1. 終わりのないおしゃべり (エンドレス・トーキング THE ENDLESS TALKING)
2. スクラッチによるジマノフスキー鳥 (スクラッチド・ジノマフスキー・バード SCRATCHED-SZYMANOWSKY-BIRD)
3. デジタル標本化による民族学 (デジタリー・サンプルド・エスノグラフィー DIGITALLY SAMPLED- ETHNOGRAPHY)
4. 女神プリオシーナ (ラ・プリオシーナ LA PLIOCENA)
5. 羽の生えた動物 (ビルドュ BIRDOJ)
6. 動揺 2 (トレンブリング2 TREMBLING #2)
- アルバム内で唯一、5分以上の長さを持つ楽曲となっています。

『エンドレス・トーキング』は、アートと音楽の融合を具現化したアルバムであり、細野晴臣の音楽的探求の一環として、リスナーに新たな感覚の旅を提供します。

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