エンパグリフロジン

エンパグリフロジン (Empagliflozin)

エンパグリフロジンは、選択的ナトリウム・グルコース共輸送体2 (SGLT2) 阻害薬であり、2型糖尿病の治療に用いられる医薬品です。商品名はジャディアンス®として知られています。

作用機序

通常、腎臓の糸球体で濾過されたグルコースは、原尿中に排出された後、尿細管で再吸収されます。SGLT2は、腎臓の近位尿細管に多く存在し、グルコース再吸収の約90%を担っています。エンパグリフロジンは、SGLT2を阻害することで、グルコースの再吸収を抑制し、余分なグルコースを尿中に排泄させ、血糖値を低下させる効果を発揮します。

承認状況

エンパグリフロジンは、米国と欧州で2013年5月、日本で2013年10月に承認申請が行われました。その後、欧州で2014年5月、米国で2014年8月、日本で2014年12月に承認されています。

副作用

重大な副作用として、低血糖、脱水、ケトアシドーシス、腎盂腎炎、敗血症などが添付文書に記載されています。特に、SU薬などの血糖降下薬との併用時には、低血糖のリスクが高まる可能性があります。また、泌尿器系の感染症の頻度増加や、尿量の増加、体重減少なども報告されています。

選択性

SGLTには複数のアイソフォームが存在し、SGLT1は小腸などにも発現しており、グルコースの吸収に関与しています。SGLT2阻害薬は、SGLT1に対する選択性が低いと、下痢や脱水などの副作用を引き起こす可能性があります。エンパグリフロジンは、SGLT2に対して高い選択性を示し、SGLT1阻害作用は比較的弱いことが特徴です。エンパグリフロジンのSGLT1に対するIC50は8,300nM、SGLT2に対するIC50は3.1nMです。

効能・効果

2型糖尿病
HFpEF (左室駆出率が保持された心不全) - 臨床試験が進行中

大規模臨床試験のエビデンス

EMPA-REG OUTCOME試験において、エンパグリフロジンは、プラセボと比較して、心血管死亡、総死亡、心不全による入院を有意に減少させることが示されました。この結果は、エンパグリフロジンが血糖コントロールだけでなく、心血管イベントの抑制にも寄与する可能性を示唆しています。

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注意

上記は一般的な情報であり、個々の患者さんの状態によっては異なる場合があります。
エンパグリフロジンの使用に関しては、必ず医師または薬剤師の指示に従ってください。

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