エンプティ・スカイ (エルトン・ジョンの肖像)

エンプティ・スカイ (エルトン・ジョンの肖像)

エルトン・ジョンのキャリアは1969年に発表されたデビューアルバム『エンプティ・スカイ』から始まります。このアルバムは当初、イギリスでのみリリースされ、広く知られることはありませんでしたが、1975年にエルトンがスターダムに上り詰めた際にアメリカなどでも発売され、大きな売上を記録することになります。この際、アルバムジャケットはエルトンのオリジナルなイラストから、孤独感を湛えた巨石のイラストに変更されました。

エルトンはこのアルバムを制作する前、ブルーソロジーというバンドから離れていました。この転機によって、彼は作詞家のバーニー・トーピンと出会い、作曲家としての道を進むことになります。ブルーソロジーでの活動の仲間であったギタリスト、カレブ・クェイがスタジオエンジニアとなり、彼との協力でエルトンは試験的にレコーディングを始めました。前年にはソロ名義で「I've Been Loving You」というシングルをリリースし、すでにアーティストとしての活動に目を向けていました。

『エンプティ・スカイ』は、カレブ・クェイを始めとする当時の仲間たちとのレコーディングによって生み出された作品です。マネージャーのスティーブ・ブラウンがプロデューサーとして関与し、音の荒削りさやメロディの美しさ、エルトンのユニークな歌唱法が特徴的です。このアルバムにはプログレッシブ・ロックの影響が色濃く表れており、特に長尺の楽曲「うつろな空」は、聴く者に強い印象を与えます。また、「ガリヴァーの追憶」では、収録曲のリプライズが挿入されており、非常に実験的な試みがなされています。

アルバムの中でも特に「スカイライン・ピジョン」は、ハープシコードの美しい旋律に支えられたバラードであり、後にベスト盤にも収録されることが多い人気の曲です。さらに、1996年にリリースされたリマスター版CDには、アルバム以前に出たシングル曲も追加され、「イエス・イッツ・ミー」は日本でもヒットを記録したことで知られています。

収録曲

• - Side 1

1. うつろな空 - Empty Sky
2. ヴァル・ハラ - Val-Hala
3. ウェスタン・フォード・ゲイトウェイ - Western Ford Gateway
4. 2000年の賛美歌 - Hymn 2000

• - Side 2

5. 恋人よ明日って何 - Lady What's Tomorrow
6. 帆船 - Sails
7. 絞首台 - The Scaffold
8. スカイライン・ピジョン - Skyline Pigeon
9. ガリヴァーの追想 - Gulliver/Hay-Chewed/Reprise

ボーナストラック

• - レディ・サマンサ - Lady Samantha
• - オール・アクロス・ザ・ヘヴン - All Across the Havens
• - イエス・イッツ・ミー - It's Me That You Need
• - ストレンジ・レイン - Just Like Strange Rain

このアルバムには、エルトン・ジョンとバーニー・トーピンの強固なコラボレーションが見られ、その後の彼の成功へとつながる重要な基盤が築かれました。音楽的な実験とメロディの美しさを兼ね備えた『エンプティ・スカイ』は、エルトン・ジョンの魅力を伝える第一歩となったのです。

もう一度検索