エーバーハルト (バイエルン公)

バイエルン公エーバーハルト：皇帝に抗した悲劇の公

バイエルン公エーバーハルトは、10世紀のドイツに生きた人物です。生年は定かではありませんが、937年から938年までの短い期間、バイエルン公としてその名を知られています。父はルイトポルト家のアルヌルフ（悪公）であり、エーバーハルトはその後を継いで公位に就きました。

公位継承と皇帝との対立

935年、エーバーハルトはバイエルンの領主たちから、父アルヌルフの後継者として認められました。そして937年7月14日、父の死去に伴い、バイエルン公の地位を引き継ぎます。しかし、彼の治世は長くは続きませんでした。エーバーハルトは、当時の神聖ローマ皇帝オットー1世と激しく対立することになります。

皇帝オットー1世の侵攻と追放

エーバーハルトとオットー1世の対立は、武力衝突へと発展しました。938年、オットー1世はバイエルンに2度にわたって侵攻を行います。最初の侵攻はエーバーハルト側の抵抗により失敗に終わりますが、2度目の侵攻ではエーバーハルトはついに追放されてしまいます。これにより、エーバーハルトは公位を失い、彼の叔父であるベルトルトが代わりにバイエルン公となりました。

その後の消息

エーバーハルトが追放された後、彼の消息は歴史の中に埋もれてしまいました。どのような生涯を送ったのか、いつ、どこで亡くなったのか、詳しい記録は残っていません。ただ、弟のアルヌルフが953年にオットー1世の子リウドルフの反乱に加担し、翌年に死去したという記録が残っています。

歴史的意義

エーバーハルトの短いバイエルン公としての統治は、皇帝権力と地方領主の対立という、当時の政治状況を象徴する出来事と言えるでしょう。彼の抵抗は失敗に終わりましたが、その存在は、中央集権化を進める皇帝に対する地方の抵抗勢力の存在を示唆しています。

参考文献

Reuter, Timothy. Germany in the Early Middle Ages 800–1056. New York: Longman, 1991.
Reindel, Kurt. Eberhard (Herzog von Bayern). In Neue Deutsche Biographie (NDB). Band 4, Duncker & Humblot, Berlin, 1959.

もう一度検索