エーラーワンの祠

エーラーワン・ホテルのブラフマー神の祠の魅力とは

バンコクの中心部に位置するエーラーワン・ホテル内部に存在するブラフマー神の祠は、ヒンドゥー教と上座部仏教の融合を象徴する場所です。一般的には「エーラーワン」と呼ばれていますが、実際にはその名称はアイラーヴァタから派生したものの、アイラーヴァタ自体が祠に祀られているわけではありません。中国語圏では「四面仏」として知られていますが、仏教の神格ではなく、むしろブラフマーが重要視されています。この場所は、観光客や信者が絶えず訪れ、その信仰の範囲を広げているところです。

祠の歴史

エーラーワンの歴史は1956年にさかのぼります。当時、グランド・ハイアット・エラワン・バンコクの建設中には多くの不幸が続き、作業員たちは「悪霊が出る」と感じ、工事を中断する事態にまで至りました。このため、ホテルの運営側は占星術の専門家であるルワン・スウィチャーンペート少将を招待し、吉日を選んでブラフマーを祀る祠を設けることにしました。これにより工事は進展しましたが、実際は建設の大部分が完了しており、祠の建立が必要だった理由は礎石が霊的に不適切だったためとも言われています。

ブラフマーの祠はその後、悪霊を鎮める地元の神としての信仰を受け、多くのブラフマーの祠がタイ各地に建立されるようになりました。また、この祠は特にビジネスマンたちからの信仰を集め、彼らの巡礼も盛んになっています。1996年には、寄付金が多額に集まることがあったため、ホテルの経営側は寄付金を管理する基金を設置し、これを慈善事業に使用することを決定します。この基金はその後、祠の管理や運営も行っています。

重大な事件とその後

2006年3月21日、エーラーワンの祠は破壊されるという事件に見舞われました。この事件は、精神的な問題を抱えたムスリムの男性によるものであり、彼はその場で暴徒に殺されました。この事件は、タイ政治の混乱を象徴するものとなり、特にムスリムが多い南部の治安問題に影響を及ぼしました。破壊されたブラフマー像は、2ヶ月後の吉祥な時間に修復され、信者に再び崇められることとなりました。

さらに2015年には、この祠と近くの船着場で連続テロ事件が発生しました。これにより、エーラーワン・ホテルが持つ象徴性が新たに浮かび上がり、多くのメディアに取り上げられました。

ブラフマー像の製作

ブラフマー像は、当時の文化省の官僚によって設計され、文化省工芸局の職人によって鋳造されました。この像は、独特の美しさと意味を持ち、多くの人々に崇敬されています。そのため、祠を訪れる信者たちは、ここでの祈りや願いを捧げるために集まってきます。

まとめ

エーラーワン・ホテルのブラフマー神の祠は、単に観光名所としてだけでなく、近年の重要な歴史的出来事と結びついた特別な場所です。多くの人々の信仰が集まるこの祠は、今後も観光客や信者にとって重要な存在であり続けるでしょう。

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