オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律

この法律は、オウム真理教によって引き起こされた事件による被害者を救済することを目的とした特例法です。正式には「オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律」と呼ばれ、略称は「オウム被害者救済法」として知られています。2008年6月18日に公布され、特にオウム真理教の犯罪によって死亡した者の遺族や、身体的・精神的な障害を負った被害者に対して給付金が支給されることが定められています。

対象となる事件

法第2条において対象となる事件は以下の通りです。

1. 地下鉄サリン事件 - 平成7年（1995年）3月20日に発生した無差別大量殺傷事件。
2. 松本サリン事件 - 平成6年（1994年）6月27日および28日に発生した事件。
3. 坂本堤弁護士一家殺害事件 - 平成元年（1989年）11月4日発生の事件。
4. 滝本弁護士サリン襲撃事件 - 平成6年（1994年）5月9日に発生。
5. 駐車場経営者VX襲撃事件 - 平成6年（1994年）12月2日の事件。
6. 会社員VX殺害事件 - 同年12月12日に発生。
7. オウム真理教被害者の会会長VX襲撃事件 - 平成7年（1995年）1月4日に発生。
8. 公証人役場事務長逮捕監禁致死事件 - 平成7年（1995年）2月28日から3月1日にかけて発生。

ただし、オウム真理教の信者であった被害者に対しては給付金の適用がされないため、そのような事件における被害者は対象外となります。

給付金の詳細

この法律では、一人につき最高で2000万円の給付金が支給されることが定められています。給付金の支給を通じて、オウム真理教事件の被害者の生活基盤が支えられることを目的としています。特に、死亡した場合には2000万円、重度の障害を負った場合には3000万円、重傷を負った場合には100万円など、具体的な支給基準が設けられています。

被害者の数と申請状況

法律施行時の2008年12月の時点で、警察庁の調査によると被害者数は6520人にのぼりました。特に地下鉄サリン事件の被害者は6226人を占めます。法律施行後も新たに被害者が判明した結果、2010年12月までに6583人が確認されました。

給付金制度を通知されることができた6508人のうち、6084人が申請を行い、424人が申請しなかったことが明らかになっています。申請していない中には、意思がないと確認された394人も含まれています。支給された給付金の内訳は、死亡に関する支給が25件、要介護の障害に5件、重度の障害に1件、重傷病に1184件で、総額は約30億円になる見込みです。

法の意義

この法律は、単なるカルト的な犯罪だけでなく、国家の安定性を脅かす反政府テロとしての側面を強調しています。法第1条では、オウム真理教による無差別の殺傷事件が、日本において未曾有の惨禍をもたらしたことを認識し、国としての責任を果たすための救済策とされています。すなわち、オウム真理教による犯罪の被害者は、国家が責任をもって支援する必要があると位置づけられています。

このように、「オウム被害者救済法」は事件の被害者を守るために制定された重要な法律であり、その内容や背景は多くの人々の理解と支援を必要としています。

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