オウム真理教被害者の会会長VX襲撃事件

オウム真理教被害者の会会長VX襲撃事件

この事件は、1995年1月4日に東京都港区で発生した、オウム真理教の信者が関与した殺人未遂事件です。被害者は永岡弘行氏（当時56歳）。彼はオウム真理教の信者から脱会した長男の親として、「オウム真理教被害者の会」の会長を務めていました。この会は、脱会信者の人権を守るため、また教団の影響から逃れようとする者たちを支援する目的で結成されています。

永岡氏は、長男が教団に出家した後も、引き続き会の活動を続けており、オウム真理教にとっては主要な敵と見なされていました。そのため、教団からはしばしば脅迫や嫌がらせが行われ、匿名の電話や脅威的なメッセージが永岡氏を悩ませました。また、会社の取引先に対する抗議が行われ、最終的には職を離れざるを得なくなる事態も発生しました。

1994年12月、教団の信者である飯田エリ子が永岡氏とその息子が脱会者と接触している様子を目撃し、教団のリーダーである麻原彰晃はその行動に激怒します。麻原は永岡氏を殺害するためにVXガス（神経ガス）を使用するよう指示しました。この時、麻原は「いかなる手段を講じても構わない」と述べ、永岡氏にVXを仕掛けるための手段を利用するよう指示したのです。

実行犯は1994年12月31日から永岡氏の自宅を監視し始めました。彼は当初、VXが知られてしまうと危険なので、名前の知られていない信者が指名されたものの、最終的には知名度のある信者である山形明と高橋克也が実行を担いました。

1995年1月4日、永岡氏が年賀状を出すために自宅から出た際、実行犯が待ち伏せし、彼のジャケットにVXの溶液をかけたのです。永岡氏は気づかずに自宅に戻り、午後1時頃から体調を崩し始めました。最初はブレーカーが落ちたのかとも思いましたが、その後激しい症状に襲われ、意識を失う事態に至ります。

永岡氏の妻が119番通報し、彼は慶應義塾大学病院に搬送されました。医療チームの治療により69日間の入院を経て一命を取り留め、意識も回復しました。

警視庁は当初、この事件を誤って「スミチオンによる自殺未遂」と見なしていましたが、1995年にオウム真理教に対する強制捜査が行われた後、実行犯からの証言によってこの事件がVX襲撃事件として明らかになりました。事件の背後にある教団の脅威や、被害者の勇気ある戦いは、後の多くの社会問題を浮き彫りにしました。

関連項目

• - 永岡弘行
• - VXガス
• - オウム真理教のアニメ

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