オオアルマジロ

オオアルマジロ (Priodontes maximus)

オオアルマジロは、被甲目Chlamyphoridae科に分類される哺乳類で、オオアルマジロ属を構成する唯一の種です。現生のアルマジロ類の中では最大種であり、その独特な生態と形態が特徴です。

分布

オオアルマジロは、南米大陸に広く分布しています。具体的には、アルゼンチン北東部、エクアドル、ガイアナ、コロンビア南部、スリナム、パラグアイ、ブラジル、仏領ギアナ、ベネズエラ、ペルーなどで生息が確認されています。かつてはウルグアイにも生息していましたが、現在では絶滅してしまったと考えられています。模式標本の産地は、仏領ギアナのカイエンヌです。

形態

体長は75cmから100cm、尾長は50cmから55cmに達し、体重は18.7kgから32.3kgほどになります。飼育下では80kgに達した例もあります。全身は鱗状の板（鱗甲板）で覆われており、これがアルマジロの最大の特徴です。頭部の鱗甲板（頭甲）は卵型をしており、肩部の鱗甲板（肩甲）とは頸帯で繋がっています。肩甲と腰の鱗甲板（腰甲）の間には、11本から13本の帯状の鱗甲板（帯甲）があり、これによって体を自由に動かすことができます。尾の鱗甲板はほぼ均一な大きさで、不規則な横帯状に並んでいます。鱗甲板の色彩は淡褐色や黒褐色で、頭部や尾の下縁は黄白色で縁取られています。

耳介は小型で卵型をしており、歯は100本に達します。これは陸生哺乳類の中では最も多い数です。指趾は5本あり、前肢の爪は非常に大きく、特に第3指の爪は20.3cmにも達します。染色体数は2n=50です。

出産直後の幼獣は体重113gほどで、乳頭の数は1対です。

生態

標高500m以下の地域に生息し、森林やその周辺のサバンナなどを好みます。水辺を好む傾向もあります。行動圏は平均452.5ヘクタールと広大で、夜行性の動物です。かつては昼行性だったと考えられていますが、乱獲によって人間を恐れるようになり、夜行性に変化したという説もあります。巣穴は平均して幅41.3cm、高さ30.8cmで、ブラジルでの調査では、巣穴の68%が草原に、28%が低木林に、3%が森林に存在していたという報告があります。後肢だけで直立することができ、1mほどの壁を乗り越えることも可能です。動きは俊敏で、危険を感じると穴を掘って隠れます。

食性は主にアリ類やシロアリですが、甲虫類やゴキブリなどの昆虫、クモ、サソリ、多足類、小型のヘビ、動物の死骸なども食べます。マットグロッソ州での糞の内容物調査では、56.8%がアリ類、36.8%がシロアリ類であったという報告があります。まれに植物質を食べることもあり、胃の内容物から種子が見つかったり、果実を食べたという報告もあります。前肢を使って蟻塚や地面を掘り起こし、獲物を捕食します。

繁殖様式は胎生で、妊娠期間は約4ヶ月です。授乳期間は4週間から6週間で、生後9ヶ月から12ヶ月で性成熟します。ただし、これらの数値は1983年のMerrettによる単一の報告例に基づいているため、不正確である可能性も指摘されています。1回の出産で1頭から2頭の幼獣を産みます。

長寿の記録としては、1972年にブラジルで捕獲され、1975年からオランダの動物園で飼育された個体が、1988年にサンアントニオ動物園で死亡した例があります（飼育期間12年7ヶ月、推定16年）。

人間との関係

ブラジルのアマゾン川流域やパラグアイなどでは、食用とされることがあります。また、甲や尾、爪などが、揺り籠や鍋などに利用されることもあります。

森林伐採や宅地開発、農地開発、道路建設などによる生息地の破壊、食用のための乱獲などにより、生息数は激減しています。1980年代には生息数が約50%減少したという報告もあります。1975年のワシントン条約発効時から、ワシントン条約附属書Iに掲載されており、国際的に保護されています。

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