被甲目

被甲目（Cingulata）

被甲目は、哺乳綱に属する分類群であり、一般的にアルマジロとも呼ばれています。彼らは北アメリカ南部からアルゼンチンまで幅広く分布しており、そのユニークな特徴が多くの人々の関心を集めています。

形態の特徴

被甲目の中で最も大型の種類はオオアルマジロで、体長は75cmから100cm、尾の長さは約50cm、体重は約30kgに達します。一方、最小の種はヒメアルマジロで、体長はわずか10cm、尾は3cm、体重は0.1kgに過ぎません。このように、被甲目には大きなサイズの違いが見られます。

全身は皮膚が硬化した骨状の板、つまり鱗甲板で覆われており、これがアルマジロの英名「armadillo」の由来となる名詞「armado」（武装したもの）を反映しています。一般的には敵と遭遇すると体を丸めてボール状に自身を守る行動が知られていますが、完全に丸まることができるのは、実際にはミツオビアルマジロ属に属する2種に限られています。

分類

2016年に行われた分子系統解析によると、被甲目は約4500万年前に分岐したとされ、従来のアルマジロ科がChlamyphoridaeとDasypodidaeの二つの科に分けられることが提唱されています。このような最新の研究成果に基づき、次のような現生の分類群が確認されています。これに従って、各属や種が挙げられています。

Chlamyphoridae科
Chlamyphorinae亜科
- チャコアルマジロ属（Calyptophractus retusus）
- ヒメアルマジロ属（Chlamyphorus truncatus）
Euphractinae亜科
- ケナガアルマジロ属（Chaetophractus）
-ムツオビアルマジロ属（Euphractus）
Tolypeutinae亜科
- ミツオビアルマジロ属（Tolypeutes）
Dasypodidae科
- ココノオビアルマジロ属（Dasypus*）

南アメリカ大陸は、地質学的に長い孤立時代を経て、被甲目の進化に大きな影響を与えました。具体的には、白亜紀末に北アメリカ大陸と一時的に接続されていましたが、それ以外の時期には孤立しており、その進化の過程で被甲目は現在の形態を獲得したと考えられています。

生態

被甲目は主に夜行性で、主に嗅覚を駆使して食物を探します。彼らの食事は、シロアリやミミズ、カタツムリなどの小型動物が中心ですが、時には植物性のホコリも摂取することがあります。敵に襲われると、手足を引っ込めて硬い甲羅を使って身を守ります。また、彼らは地下に穴を掘って巣を作り、ここで長時間を過ごすことが多いです。睡眠時間は非常に長く、1日あたり平均18時間を要します。

彼らの舌は粘着性があり、シロアリやアリを効率的に捕食するのに適しています。前足には非常に長い爪が生えており、これを使って地面を掘り返すことが得意です。

人間との関係

かつては南アメリカの生物でしたが、最近では北アメリカでも一般的に見かけるようになり、アメリカ合衆国南部ではペットとして飼育されることもある生き物です。しかし、彼らの穴掘りの習性から農地や庭を荒らす害獣として扱われ、駆除の対象となることも少なくありません。

また、南アメリカではアルマジロの肉が食用とされ、甲羅は楽器の材料として利用されています。特にアンデス地方の文化においては、彼らは「キルキンチョ」と呼ばれ、民俗音楽やダンスにも重要な役割を果たしています。

注目すべきは、アルマジロが人間以外で唯一ハンセン病に感染し、研究に利用されている生物であることです。テキサス州では州の動物としても指定されていますが、テネシー州では野生のアルマジロの個体数が増加しすぎ、狩猟が許可されています。

最後に、アルマジロは日本においてもペットとして飼うことが可能で、規制は存在しません。このように、被甲目はさまざまな文化や生態系において重要な役割を果たす動物です。

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