オケピ!

ミュージカル『オケピ!』

『オケピ!』は、三谷幸喜が手掛けた日本のミュージカルで、2000年に初演して以来、いくつかの再演を重ねてきました。この作品は、舞台の裏側、すなわちオーケストラ・ピットの世界を舞台上に描くという独特のスタイルを持ち合わせています。そのため、観客は通常目にすることのないミュージカルの裏側に触れることができるという新鮮な体験が提供されています。

物語の設定

物語は、架空の翻訳ミュージカル「BOY MEETS GIRL」の本番中のオーケストラ・ピットを舞台にしています。観客にはあまり評判の良くないこのミュージカルが上演される中、演奏者たちはそれぞれの問題を抱えながら演奏を続けます。この設定によって、物語は二重の視点を持つことになり、裏方であるオーケストラメンバーの葛藤や人間関係が浮き彫りにされるのです。

舞台の最下層に本物のオーケストラが設けられ、上部には「BOY MEETS GIRL」の舞台が描かれています。初演では、さらなる舞台が設置され、真上から見下ろす形で物語が進行しましたが、再演版ではその演出が省かれ、シンプルになりました。

キャストと登場人物

2000年版と2003年版で異なるキャストが登場し、各キャラクターの個性がしっかりと描かれています。コンダクターを演じる真田広之や、コンサートマスターの戸田恵子など、それぞれの役者が独特の魅力を持っています。特に、コンダクターは一見シリアスな職務を抱えながらも、奥さんとの関係や周囲のミュージシャンとのコミュニケーションで見せる軽妙さが印象的です。

例えば、ハープを演奏する役は貧しい家の出身であり、周囲との関係が複雑なため、周囲からの誤解を招きやすいという設定があります。このように、各キャラクターがそれぞれの悩みや人間関係を持ちながらも、描かれているのがこのミュージカルの魅力の一つです。

公演履歴

『オケピ!』は、2000年と2003年の大きく二度にわたって公演されました。最初の公演は東京と大阪の2都市で行われ、その後の再演では名古屋でも上演がありました。特に2003年の東京千秋楽公演はWOWOWでの生中継が行われ、多くの視聴者の目に触れました。

また、2003年版に関してはDVDおよびCDが発売され、観客やファンにとっては鑑賞の手段が広がりましたが、初演の2000年版は発売されていないことが残念です。このような事情は、三谷幸喜の意向が影響していると言われています。

受賞歴と関連作品

この作品は、2000年に第45回岸田國士戯曲賞を受賞しています。また、本作に関するさまざまなグッズも販売されており、ファンには嬉しい情報がアピールされています。さらには、三谷幸喜の他の作品とのつながりやその演出スタイルも話題に上がることが多く、他の作品との関連性を考えると興味深いものがあります。

おわりに

『オケピ!』は、そのユニークな構造とキャラクターたちの魅力で多くの観客に愛され続けています。舞台の裏側をリアルに描く本作は、視覚的にも聴覚的にも新しい体験を提供し、ミュージカルの楽しみ方を広げています。今後の公演や関連作品に期待が寄せられる理由がここにあるのです。

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