岸田國士戯曲賞

岸田國士戯曲賞について

岸田國士戯曲賞（きしだくにおぎきょくしょう）は、劇作家・岸田國士の優れた業績を称えると共に、若い劇作家を育成することを目的に設立された賞です。主催は白水社であり、新人作家の登竜門として位置づけられ、「演劇界の芥川賞」とも称されていますが、実際にはベテラン作家の受賞も少なくありません。

賞の歴史

この賞は1955年に新劇戯曲賞として創設され、その後1961年に新潮社の岸田演劇賞と合併し「新劇」岸田戯曲賞に名称変更されました。1979年に現在の名称へと改称されました。当初は新劇の作家専用の賞として設立されましたが、1960年代後半からは小劇場作家の受賞も見られるようになり、徐々に受賞作品の幅広い多様性を反映するようになりました。

受賞者には正賞として記念時計が贈られ、副賞として一定額の賞金も授与されます。また、最年少受賞者の記録は24歳の柳美里（第37回）によるもので、この賞が若手作家にとっていかに重要な意味を持つかを示しています。

受賞者と作品

この賞は毎年、多くの劇作家が受賞しており、年度ごとに異なる作品が評価されています。始まりの第1回（1955年）では該当作がなく、佳作として矢代静一の『壁画』が選ばれました。以降の受賞作には、1960年代には大橋喜一の『楠三吉の青春』や小幡欣治の『畸形児』などがあり、新劇の代表作が並びます。

1970年代に入ると、唐十郎の『少女仮面』や井上ひさしの『道元の冒険』といった作品が評価を受け、次第に劇作家の個性が際立つ作品が多く選ばれるようになってきました。

その後も岸田國士戯曲賞は、日本の演劇界において重要な位置を占める賞として存在し続け、2023年に入っても新たな受賞者や評価される作品が生まれています。

選考委員

選考委員は、各回によって異なる著名な劇作家や批評家が名を連ねており、賞の公正を期すためにさまざまな視点から作品が選考されています。選考過程において、これまでに名を馳せた劇作家たちが多く参加していることで、賞の権威が保たれています。

結論

岸田國士戯曲賞は、演劇界の未来を担う若手劇作家にとって大きな励みであり、またその受賞作は日本の演劇文化の発展に寄与するものです。これからもこの賞がどのような新しい才能を発掘し、演劇界に影響を与えていくのか注目されます。

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