オステ島

オステ島

概要

オステ島は、南米大陸チリの最南端部に位置する島です。ビーグル水道を挟んで北にフエゴ島があり、またマレー海峡によって東のナバリノ島とは隔てられています。ティエラ・デル・フエゴ諸島の中では、主島であるフエゴ島に次いで2番目に大きな面積を持ち、その広さは約4,117平方キロメートルに及びます。地理的には、地球上で最も南に生育するとされるナンキョクブナ（Nothofagus antarctica）の自生地としても知られています。かつては先住民族のヤーガン族が暮らしていましたが、現在は事実上無人島に近い状態が続いています。フランスの著名な小説家ジュール・ヴェルヌは、自身の作品『マゼラン地方にて』（En Magellanie）の中で、この島に存在するとされる架空の共和国を描いています。

地理

島の面積は前述の通り4,117平方キロメートルで、これはティエラ・デル・フエゴ諸島においてフエゴ島に次ぐ規模です。島の西部の一部は、広大なアルベルト・デ・アゴスティニ国立公園に含まれており、手つかずの自然が残されています。オステ島の最南端は、ハルディ半島と呼ばれる突出した地形の先端に位置し、「偽ホーン岬」として知られています。島はその形状からいくつかの大きな半島に分かれており、主要なものとしてハルディ半島、クルエ半島、ルー半島、パストゥール半島、そしてデュマ半島が挙げられます。これらの半島は、島内に複雑に入り組んだ湾やフィヨルド地形を作り出しています。

歴史

オステ島の歴史において特筆すべきは、1881年から翌年にかけて実施されたフランスの学術調査隊による探検です。調査船ラ・ロマンシュ号に乗船した調査隊は、この地の地理や自然に関する詳細な記録を残しました。また、1894年には、新たにウスアイア周辺へ流入する鉱夫たちによる犯罪行為を防ぐ目的で、島の南東部にあるテレニカ湾に建設されていたスターリング・ハウスというプレハブ式の建物が再び使用されるようになりました。これは南米伝道協会の援助によって建てられたもので、現在はチリの国定記念物に指定されており、プエルトウィリアムズにあるマルティン・グシンデ人類学博物館の敷地に移築・保存されています。

チリ政府はかつてこの島での牧畜を試みましたが、成功には至らず、計画は放棄されました。20世紀に入ってからも、ヤーガン族の数世帯が島に居住していましたが、探検家や漁師との接触が増えるにつれて、彼らの姿は徐々に消えていきました。それ以降、オステ島は事実上無人島の状態が続いています。1992年の国勢調査では、この島を含む国勢調査地区全体で3世帯6人の居住が報告されていますが、これはオステ島単独ではなく、近隣の島嶼に分散して居住する人々を含んだ数とされています。

近年の歴史では、1978年にチリとアルゼンチンの間で緊張が高まったソベラニア作戦の際に、オステ島はチリ海軍艦艇の重要な基地として利用されました。この出来事は、島の戦略的な位置を示すものでもあります。

現在、オステ島は厳しい自然環境と交通手段の限られる状況から、人々の定住はほとんどなく、静かな環境が保たれています。

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