オストログ (要塞)

オストログの概要

オストログ（ロシア語: Острог）は、中世ルーシ及び近世ロシアにおいて建設された、一時的または恒久的な殖民拠点を指す要塞のことを言います。この言葉は、特に防御施設としての役割を持つ要塞建築に関連して使用されます。オストログは、基本的に丸太を用いたログハウス式の建築スタイルに特徴付けられ、周囲には木製の砦柵（パリサド）が設置されています。この砦柵は、尖った木材で構成され、外部からの侵入に対して強固な防御を提供します。さらに、オストログは塔を備えた門によって構成され、平地や小規模な土塁の上に築かれ、堀を持っていることが多いです。

オストログの囲いは通常、四面を形成し、四方の角には情報伝達用の塔（バシュニャ）が設置されます。これらの塔の多くは、高さが4から6メートルに達し、周囲の状況を監視する機能を果たします。オストログは当初、主に都市の包囲戦の際に用いられた防御施設の一形態であり、都市（ゴロド）や小都市（ゴロドク）とは異なる、簡素な要塞を持つ副次的な拠点として位置付けられていました。

オストログの分類

オストログにはいくつかの分類があります。まず、建築様式に関しては、ストヤチィ・オストログ（直立オストログ）とコソィ・オストログ（傾斜オストログ）の二つに分けられます。ストヤチィ・オストログはトィン（中世ルーシの砦の防柵）を直立させて地面に埋め込んだ形式であり、一方コソィ・オストログはトィンを内側に傾けたデザインになります。また、使用期間による分類もあります。ここでは、恒久的な居住を目的としたジィロィ・オストログ（居住オストログ）と、軍隊のための一時的な拠点として構築されたストヤルィー・オストログ（滞留オストログ）に分けられます。

オストログの歴史

オストログは、11世紀から12世紀にかけてルーシにおいて、遊牧民の襲撃に備えて防衛目的で建設されました。その後、17世紀まで続く時代には、モンゴル・タタール人やクリミア・タタール人の侵略に対抗するため、ロシア南部の国境に築かれた要塞線（ザセチナヤ・チェルタ）上にも多くのオストログが建設されました。

シベリアへの入植が始まると、オストログはロシア人入植者を保護し、ヤサク（毛皮や家畜で納める税）を徴収するための拠点としての役割も果たしました。ノヴォシビルスク州モシュコヴォ地区のウムレヴァ・オストログは、南シベリアやアルタイ地方への道を開いた重要な拠点の一つです。オストログから発展した都市としては、クラスノヤルスク・オストログに由来するクラスノヤルスクや、ウディンスク・オストログによるウラン・ウデなどがあります。

異義語

18世紀から19世紀には、オストログという名前はカトルガ（受刑者を収容する監獄）にも使用されました。この時代においては、オストログは苦役や徒刑を意味し、監獄の概念にも関連付けられていました。

このように、オストログはただの防衛施設に留まらず、歴史の中で様々な役割を果たしてきた重要な建築形態でした。

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