オゼッラ・FA1F

オゼッラ・FA1F：オゼッラ躍進の礎となったターボマシン

オゼッラ・スクアドラ・コルセは、1984年から1986年のF1世界選手権に、革新的なフォーミュラ1カー、オゼッラFA1Fを投入しました。このマシンは、デザイナーであるジェラール・ドゥカルージュとジュゼッペ・ペトロッタの手によって生み出され、5名のドライバーが31戦に渡りドライブしました。

背景：ターボ時代への転換

1970年代後半から台頭し始めたターボエンジンは、1983年までにF1を席巻するまでに至ります。主要チームの多くがターボエンジンを採用する中、オゼッラも1983年にアルファロメオ製のターボエンジンを獲得、1988年まで使用することとなります。このエンジン供給と共に、アルファロメオはシャシーやボディ設計についても技術協力をオゼッラに提供しました。

開発：アルファロメオ183Tからの進化

オゼッラFA1Fは、アルファロメオのファクトリーチームが開発したターボ車、アルファロメオ183Tをベースに開発されました。オゼッラはそれまでアルミニウム製シャシーを使用していましたが、FA1Fはオゼッラ初となるカーボン複合材製モノコックを採用しました。カーボンファイバーに関する経験の不足を補うため、アルファロメオは183Tのモノコックを開発参考としてオゼッラに提供しました。

オゼッラは183Tのモノコックを流用しつつ、プッシュロッド式フロントサスペンションなどの独自開発要素を盛り込みました。エンジンはアルファロメオ製のV型12気筒自然吸気エンジンから、V型8気筒ターボエンジンである890Tに変更、タイヤもミシュランからピレリに変更されました。FA1Fのシャシーは4台が製造されました。

レース戦績：ポイント獲得と苦闘

オゼッラFA1Fは1984年シーズンにデビュー、1986年シーズンまで使用されました。デビューイヤーの1984年はピエルカルロ・ギンザーニが主にドライブし、第9戦アメリカGPでは5位入賞を果たし、貴重なポイントを獲得しました。これはオゼッラにとって1982年以来のポイント獲得となりました。チームメイトとしてヨー・ガルトナーも参戦し、モンツァでは5位入賞を果たしましたが、チームがギンザーニ1台体制だったためポイントは獲得できませんでした。

1985年はギンザーニがシーズン前半をFA1Fで戦い、その後新型のFA1Gに乗り換えました。ギンザーニはドイツGPを最後にチームを離れ、ヒューブ・ロテンガッターが後任となりました。

1986年は2台体制に戻り、ギンザーニが復帰。セカンドドライバーにはクリスチャン・ダナー、アレン・バーグ、アレックス・カフィが起用されました。しかし、この年もポイントを獲得することはできませんでした。

まとめ：オゼッラターボ時代の幕開け

オゼッラFA1Fは、オゼッラにとって初めてのターボエンジン搭載車であり、チームのF1におけるターボ時代への転換を象徴するマシンでした。アルファロメオからの技術支援と、オゼッラ独自の設計思想が融合したこのマシンは、開発経験不足を克服しつつ、貴重なポイントを獲得し、チームの技術力を向上させる上で重要な役割を果たしました。その経験は、後のオゼッラターボ車の開発に大きく貢献しました。FA1Fは、オゼッラがF1でポイントを獲得した最後のマシンとしても記憶されています。

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