オチキス H35

オチキス H35（Char léger modèle 1935 H）

オチキスH35とは、フランスの1935年型軽戦車であり、第二次世界大戦前に開発されました。この戦車は、当時の軍事需要に応えるために設計され、多くの技術的特徴があります。以下では、開発の経緯、技術的特性、使用状況について詳述します。

開発の背景

オチキスH35の開発が始まったのは1926年のことです。この年、フランス軍は歩兵師団に対する支援を目的とし、独立戦車大隊の創設を決定しました。まず、ルノーD1が試作されましたが、その重量から目的に合わないことが判明しました。1933年、オチキス社は新しい戦車のデザインを提案し、これが承認されました。新技術を活用した鋳造装甲を採用することで、軽量化とコスト削減を図りました。

1935年には、試作車がテストに出されましたが、その際には砲塔を持たず機銃のみを装備した豆戦車と呼ばれるものでした。その後、複数回の改良を経て、最終的に200両が発注されました。量産車のテストでは操縦性能に問題があり、歩兵部隊からの評価は芳しくありませんでしたが、政治的背景から生産が続けられました。

技術的特徴

オチキスH35はコンパクトな設計で、全長4.22m、全幅1.95m、全高2.15m、重量11.37トンです。車体は6つの鋳造部分からなり、それぞれがボルトで結合されています。この鋳造装甲は傾斜しており、弾丸を受け流す能力を持っていましたが、装甲厚が34mmと、当初の仕様である40mmよりも薄いため、防御力には限界がありました。

乗員は2名で、操縦手は前部のハッチの後ろに位置していました。しかし、操縦は非常に難しく、特に突然の動きや傾斜地での操行に苦しむことが多かったのです。また、ブレーキ性能も劣悪で、速度を出すことが出来ませんでした。

改良と運用状況

1936年には、新しいエンジンを搭載した改良型（H39）が開発され、その性能が向上しました。特に、最高速度は28km/hから36.5km/hにまで引き上げられ、操縦性も改善されました。新型はより高く、角張ったデザインを有し、操縦性が向上していました。

戦車は通常、歩兵部隊や騎兵部隊に配備されましたが、歩兵部隊からの評価は低く、結局騎兵部隊において大半が運用されることになりました。1940年には第342CACCがノルウェーに派遣され、続いて自由フランス軍の一部として1940年代にシリアでも戦闘に参加しました。

戦後の使用状況

戦後も、一部のオチキスH35はフランスの警備軍やドイツ軍によって使用され、ドイツは約550両を鹵獲し、主に占領地の警備に利用しました。この戦車は様々な改造も受けましたが、主要な戦車として使用されることは少なくなり、各種支援車両の元となるケースも多々ありました。

結論

オチキスH35はその開発から運用に至るまで、フランス軍の革新と苦悩の象徴とも言える軽戦車でした。その戦場での活躍とその技術的特性は、歴史的にも意義深いものがあります。今後も将来的な研究や情報共有が期待されます。

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