オックスフォード大学同窓生名簿

オックスフォード大学の歴史を紐解く貴重な資料として知られる『オックスフォード大学同窓生名簿』は、ジョセフ・フォスターによって編纂され、1887年と1891年に出版されました。この名簿は、1500年から1886年までのオックスフォード大学に入学した学生たちの記録を網羅しており、同大学の歴史研究において極めて重要な役割を果たしています。

フォスターは、大学が所蔵する膨大なアーカイブ資料や、各カレッジが独自に保管していた入学許可簿を丹念に調査し、それらを整理統合することで名簿を作成しました。単に既存の記録をまとめただけでなく、多くの史料を精査し、詳細な情報を網羅することに尽力したことがうかがえます。その功績が認められ、フォスターは1892年にオックスフォード大学から名誉文学修士号を授与されています。

名簿は、1500年から1714年までの記録を収めた4巻本と、1715年から1886年までの記録を収めた4巻本の、計8巻から構成されています。さらに、1880年から1892年に入学した学生を収録した『Oxford Men and their Colleges』という2巻本も出版されています。これらは、オックスフォード大学の長い歴史の中で、多くの著名な人物が輩出されてきたことを示す重要な証拠となっています。

ただし、名簿の信頼性については、すべての期間において均一ではない点に留意する必要があります。特に、1500年から1540年までの入学者に関する記述については、後年、アルフレッド・ブラザーストン・エムデンが作成した名簿（1974年出版）の方が、ボドリアン図書館などによってより信頼性の高いものと評価されています。これは、フォスターが利用できた史料の量や質、当時の研究状況などを考慮すると、やむを得ない部分と言えるでしょう。

にもかかわらず、『オックスフォード大学同窓生名簿』は、今日でもオックスフォード大学の歴史研究において重要な一次資料として活用されています。デジタル化が進み、インターネットアーカイブなどを通じてオンラインで閲覧できるようになったことで、より多くの研究者や一般の人々がこの貴重な資料にアクセスできるようになりました。この名簿は、単なる同窓生リストにとどまらず、オックスフォード大学、ひいてはイギリス高等教育の歴史を理解する上で欠かせない情報を提供し続けていると言えるでしょう。

現在では、1500年から1714年までの名簿、1715年から1886年までの名簿、そして1880年から1892年までの名簿、それぞれインターネットアーカイブなどでデジタル化されたものが公開されており、誰でもアクセスして閲覧することが可能です。これらのデジタル化された資料は、歴史研究の進展に大きく貢献していると言えるでしょう。

今後、さらに研究が進み、新たな史料が発見されることで、名簿の内容が補完・修正される可能性もあります。しかしながら、ジョセフ・フォスターが編纂した『オックスフォード大学同窓生名簿』は、オックスフォード大学の歴史を研究する上で、依然として重要な役割を果たし続けるでしょう。

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