オットー・ハインリヒ (プファルツ選帝侯)

オットー・ハインリヒ：激動の時代を生きた領主

オットー・ハインリヒ（1502年4月10日 - 1559年2月12日）は、プファルツ＝ノイブルク公、そして後にプファルツ選帝侯として名を残した人物です。彼の生涯は、領土の継承を巡る争い、宗教改革の波、そして芸術と文化の振興といった、激動の時代を象徴する出来事に彩られています。

生い立ちとランツフート継承戦争

オットー・ハインリヒは、プファルツ選帝侯フィリップの息子ループレヒトと、バイエルン＝ランツフート公ゲオルクの娘エリーザベトの間に生まれました。ゲオルクに男子の後継者がいなかったことが、その後の彼の人生を大きく左右します。バイエルン＝ミュンヘン公アルブレヒト4世とプファルツ家の間で、領土の継承を巡る激しい対立、すなわちランツフート継承戦争（1503年 - 1505年）が勃発したのです。

この戦争の結果、オットー・ハインリヒと弟のフィリップは、プファルツ＝ノイブルク公の称号を与えられ、現在のバイエルン州オーバーフランケンからオーバープファルツにかけての領地を統治することになりました。当初は、父方の祖父フィリップと叔父フリードリヒ2世が摂政として彼らを支えました。

プファルツ選帝侯への即位と宗教改革

1556年、フリードリヒ2世の死後、オットー・ハインリヒはプファルツ選帝侯の地位を継承します。彼は、かつてフリードリヒ2世が断念した宗教改革を、再びプファルツにもたらしました。これは、当時のヨーロッパ社会における宗教的対立の激化を示す出来事であり、オットー・ハインリヒの政治的な姿勢を明確に示すものでもありました。

文化と建築への貢献

オットー・ハインリヒは、ノイブルク・アン・デア・ドナウに壮麗な宮殿を建造しました。これは、彼の文化的なセンスと、領地を豊かにしようとする意志の表れと言えるでしょう。この宮殿は、ルネサンス様式の建築物として、現在もその美しい姿を留めており、多くの観光客を魅了しています。

後継者問題と領土の分割

バイエルン公アルブレヒト4世の娘ズザンナと結婚しましたが、残念ながら子供に恵まれませんでした。そのため、彼の死後、プファルツ選帝侯はプファルツ系の支流であるプファルツ＝ジンメルン公フリードリヒ3世が、プファルツ＝ノイブルク公は別の支流であるプファルツ＝ツヴァイブリュッケン公ヴォルフガングがそれぞれ継承することになりました。これにより、プファルツの領土は分割されることになったのです。

オットー・ハインリヒは、領土の継承を巡る争いから始まり、宗教改革、文化の振興、そして後継者問題といった、様々な課題に直面しながらも、自らの領地を統治し、時代に大きな足跡を残しました。彼の生涯は、16世紀ヨーロッパの複雑な政治情勢と、その中で生き抜いた領主の姿を鮮やかに描き出しています。

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