オットー・フォン・ブラウンシュヴァイク＝グルーベンハーゲン

オットー・フォン・ブラウンシュヴァイク＝グルーベンハーゲン（1319/20年 - 1399年）は、ブラウンシュヴァイク＝グルーベンハーゲン公国の出身で、14世紀のヨーロッパで活躍した人物です。傭兵としての顔を持つ一方で、ナポリ女王ジョヴァンナ1世の夫となり、ターラント公を名乗るなど、その生涯は波乱に満ちていました。

生い立ちと傭兵としてのキャリア

オットーは、ブラウンシュヴァイク＝グルーベンハーゲン公ハインリヒ2世の長男として生まれました。ブラウンシュヴァイク＝リューネブルク家は分割相続を行っていたため、オットーは十分な遺産を受け取ることができず、父と同じく海外での活動に関心を抱くようになりました。幼い頃から各地の君主に仕え、勇敢で命知らずの傭兵として知られていました。1339年にはモンフェッラート侯ジョヴァンニ2世に仕え、アスティの戦いに参加。その後、ドイツ騎士団を経て、フランス王ジャン2世に仕えるなど、各地を転戦しました。

結婚と財産、そしてイタリアでの活躍

フランス王の仲介により、マヨルカ王ジャウメ3世の未亡人ビオランテと結婚したことで、オットーは巨万の富を得て、グルーベンハーゲン家で最も裕福な人物となりました。その後、イタリアに戻り、モンフェッラート侯ジョヴァンニ2世の3人の息子の後見人となり、1354年にはローマでカール4世の戴冠式に参列するなど、重要な役割を果たしました。

ナポリ女王との結婚と政治的混乱

最初の妻ビオランテの死後、オットーはイタリアで軍事指揮官としての名声を確立していました。ローマ教皇グレゴリウス11世からは、アルメニアの王太后マリアの夫として推薦されましたが、これは実現しませんでした。1376年、オットーはナポリ女王ジョヴァンナ1世の4番目の夫となり、ターラント公、アチェッラ伯などの称号と領地を手にしました。しかし、この結婚はナポリ王国を、教皇庁の分裂という政治的な混乱に巻き込むことになります。

教皇庁の分裂とナポリ王国の危機

教皇グレゴリウス11世の死後、ナポリ王国は教皇ウルバヌス6世と対立教皇クレメンス7世の間の争いに巻き込まれました。ジョヴァンナ1世とオットーはクレメンス7世を支持しましたが、これがウルバヌス6世の反感を買い、ジョヴァンナ1世は退位を宣告され、十字軍による攻撃の脅威にさらされます。ウルバヌス6世はナポリ王位をドゥラッツォ公カルロに与え、カルロ3世としてローマで戴冠しました。カルロ3世は1381年にナポリを占領し、ジョヴァンナ1世を包囲。オットーは弟バルタザールと共にジョヴァンナ1世を解放しようとしましたが失敗し、捕虜となってしまいます。ジョヴァンナ1世は1382年に殺害され、ナポリ王国は危機的な状況に陥りました。

釈放とナポリ王国奪還への挑戦

オットーは1384年に釈放され、シチリアを経てアヴィニョンへ。ルイ1世・ダンジューの死後、その相続人であるルイ2世・ダンジューから軍の最高指揮権を引き継ぎました。1387年夏にはルイ2世のためにナポリ王国を取り戻しますが、教皇クレメンス7世がオットーをナポリ王国の総督に任命しなかったため、オットーは憤慨。敵対していたカルロ3世側につき、カルロ3世の相続人であるラディズラーオ1世の王位を宣言しました。その後、ナポリの再征服を試みますが失敗し、1392年に再び捕虜となります。釈放されるためにアチェッラ伯領を手放すことになりました。

晩年と死

晩年はターラント公領で隠遁生活を送り、1399年の3月または4月にフォッジャで死去。同地に埋葬されました。オットーは若い頃にグルーベンハーゲンを離れてから、故郷に帰ることはほとんどありませんでした。その生涯は、傭兵としての戦い、政略結婚、そして政治的な陰謀に翻弄され続けたものでした。

まとめ

オットー・フォン・ブラウンシュヴァイク＝グルーベンハーゲンは、14世紀のヨーロッパ史において、傭兵、貴族、そして政治的なプレイヤーとして重要な役割を果たした人物です。その波乱に満ちた生涯は、当時の複雑な政治情勢と社会構造を映し出しています。

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