ナポリ王国

ナポリ王国について

概要

ナポリ王国（イタリア語: Regno di Napoli）は、13世紀から19世紀にかけて存在した南イタリアの国家で、主にナポリを中心に発展しました。もともとは中世シチリア王国の領土が分裂した結果誕生しました。ナポリ王国は19世紀初頭にシチリア王国と統合され、両シチリア王国という形をとります。

名称の歴史

ナポリ王国は、かつて「シチリア王国」という名を用いていました。この名は、中世シチリア王国が分裂した後も、両国が正当な王国としての立場を主張し続けたためです。彼らは「灯台のこちらのシチリア王国」（ナポリ側）と「灯台のあちらのシチリア王国」（シチリア島側）と呼ばれました。1759年には「ナポリ王国」という名称が広まり、この年を契機に正式に公称されるようになりました。シチリア島は「トリナクリア王国」と呼ばれることもありました。

地理

ナポリ王国の領域は、現在のカンパニア州やカラブリア州、プッリャ州、アブルッツォ州、モリーゼ州、バジリカータ州、ラツィオ州の一部（ガエータ、カッシーノ）を含んでいました。シチリア島も同君連合の下に一時期組み込まれました。また、14世紀初頭にはローマとラティウムを占領したことから、その幅が広がった時期もありました。

歴史的背景

中世シチリア王国の分裂

ナポリ王国は1282年のシチリアの住民反乱「シチリアの晩祷」に起因して誕生しました。この事件はシチリア王国の分裂を引き起こし、以降はシチリア島と半島に分かれて統治されることとなりました。半島側はナポリに拠点を移したアンジュー家によって支配を受けました。この背景には、1312年のカルタベッロッタの和とそれによる互いの承認があります。

アンジュー朝とその後

ロベルト1世の治世下でナポリ王国は繁栄を迎えましたが、彼の死後は内紛が続きました。ジョヴァンナ1世の暗殺後、アンジュー＝ドゥラッツォ家とヴァロワ＝アンジュー家の間で抗争が生じました。この後の1442年にアラゴン王アルフォンソ5世によって征服され、その後ナポリ王国はアラゴン連合王国として再編されました。

フランス・スペインの影響

ナポリ王国はその後も、イタリア全土を巡るフランスとスペインの争いの中で波乱に満ちた時代を過ごします。1495年のシャルル8世による一時占領を経て、1504年にはリヨン条約によりスペインの支配下に入ります。以降の2世紀にわたってナポリはスペインの植民地的な支配を受け、内乱や暴動が相次ぎました。

オーストリア・ハプスブルク家とブルボン家

1770年代にはオーストリア・ハプスブルク家がナポリ王国を支配し、その後ブルボン家が復帰します。ナポレオン時代には、ナポリ王国はフランスの衛星国となり、封建制度の廃止や近代化が進められました。1815年にはウィーン会議を通じてブルボン家が再び権力を握り、ナポリとシチリアの王国が統一されます。

結論

ナポリ王国は、南イタリアの複雑な歴史と文化の中で重要な役割を果たしました。様々な王朝がその支配権を巡って争い、地域社会に多大な影響を与えたのです。ナポリ王国はその後、イタリア統一運動とともに歴史の中での一つの章として記憶され続けています。

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