オットー・ブルンフェルス

オットー・ブルンフェルス：植物学の先駆者

オットー・ブルンフェルス（1488年 - 1534年）は、16世紀のドイツで活躍した神学者、植物学者です。彼は、その功績からカール・フォン・リンネによって「植物学の父」の一人と称えられています。

生涯と研究

ブルンフェルスはマインツで生まれ、同地の大学で神学と哲学を学びました。その後、修道院に入り、ニコラウス・ゲルベルとの出会いをきっかけに植物研究に没頭するようになりました。修道院の改革運動にも参加し、学校長としても活動しました。

しかし、彼の活動は神学的な論争にも巻き込まれました。デジデリウス・エラスムスに反対し、ウルリヒ・フォン・フッテンを擁護したことが異端者リストに加えられる要因となりました。その後、スイスに移り、医学を学び、ベルンで市医師として没しました。

業績

ブルンフェルスは神学だけでなく、教育学、アラビア語、薬学、昆虫学、植物学など幅広い分野で論文を発表しました。特に植物学の分野では、『本草写生図譜』(Herbarium vivae icones, 1530年、1536年)が有名です。これは、彼が収集したドイツの植物にドイツ名を添え、ディオスコリデスなどの文献から引用した説明文と、精緻な木版画の図版を組み合わせたものでした。アルブレヒト・デューラーの弟子であったハンス・ヴァイディッツが描いた図版は、従来の植物図鑑とは一線を画すもので、博物学における図版の重要性を示しました。

また、彼は『Contrafayt Kräuterbuch』(1532-1537)も刊行しています。

ブルンフェルスの功績を称え、ナス科の植物属にBrunfelsiaという名前が付けられています。

『本草写生図譜』の革新性

『本草写生図譜』は、その図版の精密さにおいて、当時の植物書に革命をもたらしました。ハンス・ヴァイディッツによる写実的な木版画は、植物の細部まで忠実に再現し、植物学研究に新たな可能性を開きました。出版業者による図版の流用問題も発生しましたが、このことは『本草写生図譜』の影響力の大きさを物語っています。

著作リスト

Othonis Brvnfelsii Pro Vlricho Hutteno defuncto ad Erasmi Roter. Spongiam Responsio (1523)
Processus consistorialis Martyrii Io. Huss (1524); German edition: Geistl. Bluthandel Iohannis Hussz zu Constenz (1524 or 1525)
Pandectarum Veteris et Novi Testamenti (1527)
Catalogi virorum illustrium veteris et novi testamenti (1527)
Catechesis puerorum in fide, in literis et in moribus (1529)
Herbarum vivae eicones, 3 Bde. (1530-36)
Catalogus illustrium medicorum seu de primis medicinae scriptoribus (1530)
Iatron medicamentorum simplicium (1533)
Contrafayt Kreüterbuch (mit naturgetreuen Abb. v. Hans Weiditz), 2 Vol., (1532-1537)
Onomastikon medicinae, continens omnia nomina herbarum, fruticum etc. (1534)
Epitome medices, summam totius medicinae complectens (1540)
In Dioscoridis historiam plantarum certissima adaptatio (1543)

まとめ

オットー・ブルンフェルスは、神学者から植物学者へと転身し、その生涯を通じて植物学の発展に大きく貢献しました。『本草写生図譜』における精緻な図版は、その後の植物図鑑に大きな影響を与え、彼の名は植物学の歴史に永く刻まれています。

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