オットー・ベルニング

オットー・ベルニング：連続撮影カメラ「ロボット」の系譜

オットー・ベルニング（Otto Berning）は、1931年にオットー・ベルニングによってドイツで設立されたカメラメーカーです。同社は、ゼンマイ駆動による連続撮影機構を内蔵したカメラ「ロボット」シリーズでその名を馳せました。当初はロボット・フォト&エレクトロニック（Robot Foto Und Electronic）として知られていましたが、現在はロボット・ヴィジュアル・システムズ（Robot Visual Systems GmbH）に商号を変更し、スピード違反取締り用のカメラなど、特殊な用途のカメラを製造しています。

ロボットシリーズの特徴

「ロボット」シリーズは、スプリングによるモータードライブを内蔵し、1960年代まで一般用スチルカメラではほぼ唯一連続撮影が可能でした。当時のカメラ雑誌では、その連写性能から「あらゆる撮影の可能性を秘めた万能機」として評価されていました。基本は24×24mm判（ロボット判）ですが、一部には24×36mm判（ライカ判）や24×18mm判（ハーフ判）の機種も存在します。シャッターはロータリー式で、全速同調が可能。レンズマウントはφ26mmのネジ込み式を採用していました。1960年代には、東京やさか通商が日本での代理店を務めていました。

ロボットシリーズのカメラボディ

ロボットI（ROBOT I, 1934年発売）: 35mmフィルムを専用マガジン「Kカセット」に装填して使用するカメラ。48枚撮影が可能で、軍艦部中央の大きなゼンマイ巻き上げダイヤルが特徴です。一度の巻き上げで24枚の連続撮影が可能。シャッター速度はT, 1-1/500秒。レバー操作で自動的にシャッター速度が一段遅くなる緑色フィルター機構を備えています。原型はハインツ・キルフィットの設計によるものです。
ロボットII（ROBOT II, 1938年発売）: M級シンクロ接点を装備。オプションで一度の巻き上げで48枚連続撮影可能な大型ゼンマイも用意されました。フィルター機構は省略されています。
ロボットLW (ROBOT LW): ロボットIIをベースに一部改造を施し、ドイツ国防軍空軍に納入されたモデル。LWはドイツ空軍（Luftwaffe）の頭文字です。
ロボットIIa（ROBOT IIa, 1951年発売）: MXシンクロ接点とアクセサリーシューを装備。
ロボットスターI（ROBOT Star I, 1952年発売）: 135フィルム（一般的な35mmフィルム）を使用可能にしたモデル。
ロボットロイヤル24（ROBOT Royal24, 1953年発売）: 距離計連動式の24×24mm判カメラ。
ロボットロイヤル36（ROBOT Royal36, 1955年発売）: 距離計連動式の24×36mm判（ライカ判）カメラ。一度の巻き上げで16枚連続撮影が可能です。
ロボットロイヤル36S（ROBOT Royal36S）: 距離計連動式の24×36mm判（ライカ判）カメラで、5コマ/秒の連続撮影が可能です。

ロボットシリーズ用レンズ

ロボットシリーズには、以下のメーカー製の様々なレンズが提供されていました。

カール・ツァイス:
テッサー3cm F2.8
テッサー3cm F3.5
テッサー37.5mm F2.8
ビオター4cm F2
ゾナー50mm F2
テッサー5cm F3.5
ゾナー75mm F4
メイヤー:
トリオプラン30mm F2.8
プリモター30mm F3.5
テレメゴール60mm F5.5
シュナイダー・クロイツナッハ:
クセノゴン30mm F3.5
クセノゴン35mm F2.8
クセナー37.5mm F2.8
クセナー38mm F2.8
ラジオナー37.5mm F3.5
ラジオナー38mm F3.5
クセノン40mm F1.9
クセナー45mm F2.8
クセノン50mm F1.9
テレクセナー5.5cm F5.5
テレクセナー75mm F3.8
テレクセナー75mm F4
テレクセナー90mm F3.8
ローデンストック:
ヘリゴン40mm F1.9
キラー40mm F1.9

参考文献

田中長徳『銘機礼賛』日本カメラ ISBN 4-8179-0004-0
田中長徳『銘機礼賛2』日本カメラ ISBN 4-8179-0006-7

関連項目

フォトン: ベル&ハウエル製のスプリングモーター内蔵カメラで、ロボットと並んでモータードライブ内蔵カメラの先駆者とされています。

オットー・ベルニングの「ロボット」シリーズは、そのユニークな機構と高い連写性能で、カメラ史にその名を刻みました。現在では、スピード違反取締りカメラのメーカーとして、その技術力を活かしています。

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