オットー1世 (ザルム伯)

オットー1世・フォン・ザルム：ザルム伯、そしてライン宮中伯を巡る葛藤

オットー1世フォン・ザルム（1080年頃 - 1150年）は、中世ドイツの貴族であり、ザルム伯として知られています。また、継子であるヴィルヘルムと共同でライン宮中伯の地位にも就いていました。彼の生涯は、婚姻関係、領土の獲得と喪失、そして王位を巡る争いなど、激動の時代を反映しています。

生い立ちと婚姻

オットー1世は、対立ローマ王ヘルマン・フォン・ザルムとゾフィー・フォン・フォルムバッハの息子として生まれました。1115年頃、彼はフリースラント辺境伯ハインリヒ・フォン・ノルトハイムの娘で、ライン宮中伯ジークフリート1世の未亡人であったゲルトルートと結婚しました。このゲルトルートは、神聖ローマ皇帝ロタール3世の妃リヒェンツァの妹という、高貴な血筋の女性でした。この婚姻を通して、オットーは帝国内の有力者との繋がりを深めました。

ライネック城の建設とライン宮中伯位

オットー1世は、ライネック城を建設し、1124年頃からオットー・フォン・ライネックと名乗るようになりました。この城は、彼の権力の象徴となりました。1125年、オットーは継子であるヴィルヘルムと共にライン宮中伯に就任しますが、これは共同統治という形でした。しかし、1140年にヴィルヘルムが死去すると、オットーは単独でのライン宮中伯位を主張します。

ライン宮中伯位を巡る争い

オットーのライン宮中伯位の主張は、当時のローマ王コンラート3世との対立を招きます。コンラート3世は、1138年にローマ王に選出されており、ライン宮中伯領を王の直轄地として回収し、自身の義弟であり忠実な支援者であったヘルマン・フォン・シュターレックに与えました。これは、オットーにとって大きな打撃であり、彼の権力基盤を揺るがす出来事でした。

その後の動向と最期

オットーは、トライス城を1148年まで、ライネック城を1151年まで保持しましたが、コンラート3世との争いは続きました。1148年、ついにオットーとコンラート3世の間で武力衝突が勃発し、コンラート3世はトライス城をオットーから奪い、トリーア大司教に与えました。オットーの死後の1151年には、彼の居城であったライネック城も破却されました。これにより、オットーの勢力は大きく衰退しました。

子女

オットー1世は、ゲルトルートとの間に以下の子女をもうけました。

オットー2世（1115年頃 - 1148/9年）：ヘルマン・フォン・シュターレックと戦いライン宮中伯領を奪還しようとしましたが、1148年に捕虜となり、オーバーヴェセル近くのシェーンブルク城で殺害されました。
ゾフィー（1120年頃 - 1176年）：ホラント伯ディルク6世と結婚しました。
* ベアトリクス：フリースラント辺境伯ヴィルブラント1世・フォン・ロックム＝ハラームントと結婚しました。

オットー1世フォン・ザルムの生涯は、中世ヨーロッパの権力闘争と、それによって翻弄される貴族たちの姿を鮮やかに描き出しています。彼の足跡は、歴史の記録として今もなお語り継がれています。

もう一度検索