オトコヨモギ

オトコヨモギ（男蓬）

オトコヨモギ（学名: Artemisia japonica）は、キク科ヨモギ属に分類される多年草です。日本を含むアジアの広い範囲に分布し、山野に自生します。

特徴

オトコヨモギは、地下茎を持たず、多くの茎が束になって生えるのが特徴です。茎の高さは40cmから140cm程度にまで成長します。

• - 葉: 茎につく葉は互い違いに生え、へらのような楔形をしています。葉の長さは4cmから8cm程度で、先端は3つに中裂したり、浅く裂けたり、羽状に中裂または深裂したりと、様々な形が見られます。まれに全裂することもあります。葉の付け根は托葉のように茎を抱き込みます。葉の両面には絹のような毛がまばらに生えているか、または無毛です。根元から生える葉は、花が咲く頃には枯れてしまいます。
• - 花: 花期は8月から11月にかけてで、円錐状の花序に多数の頭花をつけます。頭花は長さ約2mm、幅約1.5mmの卵状球形、または長楕円状球形をしており、舌状花はなく、筒状花のみで構成されています。総苞片は4列に並び、無毛です。
• - 果実: 果実は無毛の痩果で、長楕円形をしており、長さは約0.8mmです。

名前の由来: 和名の「オトコヨモギ」は、漢名の「牡蒿」を和訳したものです。漢名の由来は、本種の種子が小さいことから、種子がないものとして「牡」の字が用いられたという説があります。

分布と生育環境

オトコヨモギは、温帯から熱帯にかけて広く分布しています。日本では、北海道、本州、四国、九州、琉球に分布し、日当たりの良い山地や丘陵地で見られます。アジアでは、朝鮮半島、中国、フィリピン、インド、アフガニスタンなどにも分布しています。

亜種：ハマオトコヨモギ

ハマオトコヨモギ（Artemisia japonica Thunb. subsp. littoricola (Kitam.) Kitam.）は、オトコヨモギの亜種です。

• - 花茎の高さは30cmから100cm程度。
• - 茎につく葉は、楔状長楕円形または楕円形で、掌状または羽状に浅く～中裂、または2回羽状に全裂します。
• - 茎や葉には灰白色の綿毛が生えていますが、後に脱落します。

日本では本州北部や北海道の海岸に分布し、アジアでは千島列島、樺太、朝鮮の鬱陵島に分布しています。

参考文献

• - 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本Ⅲ合弁花類』(1981) 平凡社
• - 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

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